歯周病予防は、早いうちから始めるに越したことはありません。
一般的な歯周病は、早ければ20代から発症し、特に対策をしていなければ、30~40代頃には歯周組織の大半が破壊されるおそれがあります。
今回は、代表的な歯周病予防であるブラッシングの重要性を中心に解説したいと思います。
歯周病予防にブラッシングが必要不可欠なワケ
「歯周病にはなりたくないけど、ブラッシングは面倒」と思っている方も少なくないでしょう。
確かに、毎日時間をかけて隅々までブラッシングを行うのは、忙しい方などにとってできれば避けたいことかもしれません。
しかし、歯周病の予防において、ブラッシングは極めて重要です。
ブラッシングをせず、歯周病を予防できるなんてことはあり得ません。
ブラッシングを行えば、プラークや歯周病の原因となるバクテリアを効果的に除去することが可能です。
逆に言うと、口内からプラークやバクテリアを除去しない限り、歯周病のリスクは常に高い状態になってしまうということです。
歯周病予防のためのブラッシングの回数
1日に何回ブラッシングを行えば良いのか気になっている方も多いかと思いますが、実際磨く回数はそこまで重要ではありません。
歯周病を予防するためには、回数よりも、とにかくプラークを落とすことを意識しましょう。
たとえ回数が多かったとしても、磨き残しが多ければ意味がありません。
また、ブラッシングが苦手な方や、歯並びが悪くてプラークが溜まりやすい方は、1日1回でも良いので、1本1本の歯を意識しながら、丁寧にブラッシングを行いましょう。
正しい歯周病予防のためのブラッシング方法
歯周病予防のためのブラッシングでは、まず磨く順番を決めておくことをおすすめします。
具体的には、一筆書きをするように、上の歯の右から左、下の歯の右から左といったように磨くことで、磨き残しが少なくなります。
また、デコボコしている歯については、1本1本丁寧に歯ブラシを当て、細かく磨きます。
上の前歯の内側は、歯ブラシの毛先を使って磨き、上の奥歯の外側は、歯の面にきちんと歯ブラシを当てるのがポイントです。
そして、下の前歯の内側も、上の歯と同様、毛先を使って磨きます。
こちらは、歯石がとてもつきやすいポイントであるため、注意してください。
その他、下の奥歯は、口を閉じ気味にし、外側を小刻みに磨いた後、大きく口を開け、内側に斜めに歯ブラシを入れるようにして磨きます。
ちなみに、奥歯は一番後ろまで、しっかりと歯ブラシの毛先を届かせることを意識しましょう。
ブラッシングだけで歯周病は予防できる?
歯周病を防ぐにあたって、確かにブラッシングは重要ですが、これだけで完全に歯周病を予防するのは難しいです。
どれだけブラッシングが上手な方であっても、必ず少しは磨き残しがあります。
こちらは、その道のプロである歯科医師や歯科衛生士にも言えることです。
また、磨き残したプラークは、時間が経つにつれて歯石へと変化します。
どれだけブラッシングをしても、落とすことはできません。
そのため、歯周病を予防するには、ブラッシングとあわせて、歯科クリニックでのクリーニングやスケーリングなどを実施する必要があります。
クリーニングを受ければ、自宅では落としきれなかった細部の汚れまでキレイにすることができますし、スケーリングを行えば、硬くなってしまった歯石も除去することが可能です。
なるべく体調を悪化させないことも大切
毎日きちんとブラッシングを行っていても、体調が悪化し、免疫力が低下すると、歯周病を発症するリスクは高まります。
こちらは、歯周病が細菌による感染症であることが理由です。
睡眠不足や疲労、ストレスなどが積み重なると、いつもと同じようにブラッシングをしていても、歯茎が腫れやすくなったり、出血しやすくなったりすることがあります。
こちらは、免疫力の低下により、歯周病菌が口内で悪さをしているからです。
また、病気による体調の悪化にも注意が必要です。
糖尿病は、歯周病と密接な関係にあります。
糖尿病や血流が悪化し、身体の免疫力を低下させるため、必然的に歯周病のリスクを増大させます。
喫煙もブラッシングの効果を半減させる
タバコの煙には、ニコチンや発がん性物質などの有害な化学物質が2,000種類以上含まれています。
また、タバコに含まれる成分により、歯周病の原因となるプラークや歯石が付着しやすくなり、その上ビタミンCを壊してしまうことにより、歯茎をつくっているコラーゲンがうまく形成されなくなります。
さらに、有害物質が肺を通して体内に入り込むことにより、身体の抵抗力や免疫力が低下し、歯周病が進行し、治りにくくなります。
まとめ
ここまで、歯周病予防におけるブラッシングの重要性を中心に解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
ブラッシングを行えば、必ず歯周病が予防できるとは限りませんが、ブラッシングをしなければ、歯周病を予防することはできません。
また、丁寧な口内ケアだけでなく、生活習慣についても、歯周病のリスクを高めるものに関しては、なるべく排除することが求められます。