日頃、朝食を摂るときや、仕事の休憩中、食後にゆっくりしたいときなどに、コーヒーを飲むという方も多いかと思います。
実は、コーヒーには嗜好品としての魅力だけでなく、歯周病を予防する効果もあると言われています。
今回は、こちらの内容を中心に詳しく解説したいと思います。
コーヒーが持つ歯周病の予防効果について
普段何気なくコーヒーを飲んでいるという方もいるかと思いますが、こちらを摂取している方は、歯周病のリスクがある程度軽減されます。
それは、以下のような予防効果があるからです。
・活性酸素の抑制
・糖尿病のリスク減少
活性酸素の抑制
活性酸素とは、呼吸によって体内に取り込んだ酸素の一部が、通常よりも活性化した状態のことをいいます。
こちらには、細胞伝達物質や免疫機能としての働きがあり、人間の身体の動きを正常に保つ上で、不可欠な役割を担っています。
しかし、紫外線や激しい運動、喫煙などの原因により、活性酸素が増えすぎると、歯茎の組織を破壊し、歯周病を発症してしまうおそれがあります。
コーヒーには、このような状況になるのを防ぐ効果があります。
具体的には、コーヒーに含まれるクロロゲン酸と呼ばれるポリフェノールの一種が、強い抗酸化作用を発揮し、活性酸素の働きを抑え、歯茎を健康に保ってくれます。
糖尿病のリスク減少
歯周病と糖尿病は、非常に密接な関係にあります。
健康な方に比べて、糖尿病の方は唾液の分泌量が減少します。
また、唾液中の糖分の濃度も上昇していて、このような条件が重なることにより、プラークの付着や細菌の増殖が加速し、歯周病につながるとされています。
しかし、コーヒーを摂取すれば、糖尿病のリスクは軽減されます。
コーヒーに含まれるクロロゲン酸は、膵臓の働きを活発にし、糖尿病予防に必要なインスリンの分泌量を増加させてくれます。
また、糖尿病のリスクが下がることにより、唾液量の減少、白血球の機能低下なども防止でき、歯周病になりにくい環境をつくり上げます。
コーヒーによる歯周病予防の研究結果について
アメリカ・ボストン大学のグループの研究によると、コーヒーを飲む習慣のある方は、歯周病による骨の吸収が少ないということが明らかになっています。
具体的には、研究開始時平均年齢48歳の男性1,152人における、1968~1998年までの30年間のデータを分析したところ、コーヒーを飲む習慣のある方は、そうでない方に比べて歯周病によって骨を失った歯が少ないという研究結果が出ています。
こちらは、アメリカ歯周病学会の学会誌である『Journal of Periodontology』に掲載されたものであり、コーヒーに含まれる抗酸化物質、抗炎症物質の効果による結果だと考えられています。
コーヒーが持つその他の健康効果
コーヒーに含まれるクロロゲン酸の仲間は、体内でフェルラ酸という成分に代謝されます。
こちらのフェルラ酸は、血小板が固まるのを防ぎ、血液をサラサラにしてくれるため、血管が詰まりにくく、脳梗塞や心筋梗塞を防ぐ効果があります。
また、コーヒーに含まれるカフェインには、気管支を拡張する作用があり、呼吸器の機能を改善するとされています。
その他、大腸がんや肝がんの予防、脂肪燃焼促進による肥満防止、リラックス効果など、さまざまな健康効果が期待できます。
コーヒーの効果的な摂取方法について
歯周病予防としてコーヒーを摂取する場合は、砂糖などが一切入っていないブラックコーヒーを飲むことで、より効果を得やすくなります。
逆に、砂糖をたっぷり入れたコーヒーを飲んだり、コーヒーと一緒に甘いお菓子を食べたりするのはおすすめできません。
糖分はプラークをつくる原因になり、お菓子や甘いコーヒーを飲むと、かえって歯周病につながるリスクが高まります。
コーヒーの飲みすぎにも注意
先ほど、ブラックコーヒーであれば歯周病予防に効果的だという話をしましたが、1日に何杯もコーヒーを飲むのは控えましょう。
確かに、コーヒーには抗酸化作用などがありますが、飲みすぎると独特な香りが後味として長く残ります。
こちらは、ポリフェノールの一種であるクロロゲン酸が原因であり、放置すると口臭の原因になる可能性があります。
また、コーヒーに含まれるカフェインには利尿作用があり、摂取しすぎると体内の水分が奪われてしまいます。
水分量が減るのは口内も例外ではなく、結果的に唾液の分泌量が減り、口臭や虫歯、歯周病のリスクを高めることも考えられます。
ちなみに、コーヒーは歯の着色の原因にもなりやすいです。
着色が見られるのは、ポリフェノールの色素と歯の表面を覆っているタンパク質の膜が結合してしまうことで、歯に色が付くという仕組みです。
まとめ
ここまで、コーヒーが持つ歯周病予防効果を中心に解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
ブラッシングや歯石取りなど、基本的な方法だけでなく、コーヒーを適宜摂取することでも、ある程度歯周病予防の効果を発揮してくれます。
ただし、飲み方を間違えたり、飲みすぎたりすると、かえって歯や歯茎、ひいては全身にも悪影響を及ぼす可能性があるため、あくまで適量を心掛けてください。