歯周病は、世界一感染者が多い病気であり、基本的には年齢に関係なく発症します。
しかし、中でも中高年にあたる年代の方は、発症のリスクが高いとされているため、注意しなければいけません。
ここからは、中高年の方が歯周病になりやすい理由を中心に解説したいと思います。
歯周病患者がもっとも多い年代について
歯周病を発症する方は、その多くが20歳以上です。
中でももっとも多いのが55~64歳の方で、65歳以降は徐々に減少していきます。
また、65歳以降で歯周病の患者さんが減少する理由としては、歯を失う方が多くなる年代であることが挙げられます。
歯周病は、歯と歯茎の隙間から発症するものであるため、歯を失ってしまった部分では、歯周病菌が増えることはありません。
中高年の方が歯周病になりやすい理由とは?
中高年の方が歯周病を発症しやすい理由としては、主に以下のことが挙げられます。
・歯茎の老化
・血管の老化
・糖尿病
・高血圧症
・ストレス
・喫煙
歯茎の老化
中高年に差し掛かると、引き締まった歯茎が老化して痩せ細り、プラークが溜まりやすくなります。
また、同時に歯茎の免疫力も低下し、歯周病菌から歯茎を守るのが難しくなってきます。
また、老化した歯茎は、歯周病による毒素を浴びたとき、炎症が多く出る傾向にあり、こちらを再生する力も少ないことから、中高年の方の多くは歯周病を患っています。
血管の老化
年齢を重ねると、歯茎に栄養などを運んでいる血管にも老化が見られるようになります。
その結果、栄養が免疫細胞に十分行き届かず、歯周病菌への抵抗力が弱くなってしまいます。
こちらも、中高年の方が歯周病になりやすい理由の一つです。
糖尿病
年齢が中高年に差し掛かっている方の中には、糖尿病を患っているという方も少なくありません。
また、糖尿病になると、歯周病を併発しやすいとされています。
こちらの仕組みには、口の中の乾きが関係しています。
高血圧になると、唾液の分泌量が減り、口内が乾燥します。
これにより、白血球の機能が低下し、歯周病菌が増殖します。
高血圧症
中高年の方の中には、高血圧症を患っている方も多く見られます。
また、高血圧症の方は治療薬として、降圧剤を服用していることも多いですが、こちらは歯周病の症状を助長させる可能性があります。
こちらは、薬物性歯肉増殖症と呼ばれるもので、降圧剤の副作用により、歯茎が増殖するように腫れてしまう病気です。
症状の発現率は、降圧剤を服用する方の1~2割程度ですが、服用していれば誰にでも発症のリスクはあります。
ストレス
中高年の年代の方は、更年期障害などの影響から、ストレスが溜まりやすくなることがあります。
人はこのようなストレスにさらされると、主に交感神経が優位になり、唾液の分泌量が減少します。
また、唾液の中には、ラクトフェリンやリゾチウムなど、歯周病菌に対抗する物質がいくつか含まれているため、こちらが減少すると、歯周病を発症するリスクが高くなります。
喫煙
厚生労働省のデータによると、毎日タバコを吸っている、もしくは時々吸う機会がある方の割合は、男性、女性ともに40~60代の方が多くを占めています。
このように、喫煙しているケースも多い中高年の方は、タバコに含まれるニコチンなどの有害物質により、免疫機能や傷を治す機能の低下を招くため、歯周病になりやすく、さまざまな病気の進行速度も早くなります。
中高年の方の歯周病予防について
中高年の方が極力歯周病のリスクを減らすためには、やはりブラッシングをしっかりと行うしかありません。
歯科クリニックでの定期検診では、歯のクリーニングを行いますが、定期検診は3ヶ月に一度くらいの頻度であるため、どうしても毎日のセルフケアが重要になります。
また、プラークをできる限りキレイに落とすためには、道具選びにもこだわるべきです。
歯ブラシにはさまざまなサイズや形状、硬さものもがありますし、歯磨き粉もさまざまなメーカーが研究開発して、歯周病を予防するための製品を提供してくれています。
もちろん、フロスや歯間ブラシなどの併用も大切です。
歯周病予防は何歳から行うべき?
前述したような歯周病予防は、中高年に差し掛かろうとする年齢で初めても遅いです。
2016年、厚生労働省が行った調査によると、15~19歳の6.1%には、すでに4mm以上の歯周ポケットがあることがわかっています。
4mmの歯周ポケットとは、歯周病が軽度から中程度に進行している段階を指しています。
つまり、中高年になって歯周病に苦しまないようにするには、10代から歯周病予防をしておかなければいけないということです。
まとめ
ここまで、中高年の方が歯周病になりやすい主な理由について解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
中高年の方は、さまざまな病気のリスクが高まる傾向にあり、その中には歯周病も含まれています。
また、歯周病は多くの病気や生活習慣などと関連性を持っているため、まずはどのような原因で発症するのかを十分に理解し、その上で適切な対策を取るようにしましょう。