歯周病の怖いところは、老若男女問わず発症のリスクがあるというところです。
そのため、ブラッシングをはじめとする予防については、なるべく早いうちから行うべきですが、予防法の一つとして乳酸菌の摂取が挙げられます。
今回は、乳酸菌の持つ歯周病予防効果を中心に解説したいと思います。
乳酸菌の主な歯周病予防効果4選
乳酸菌には以下のような作用があり、歯周病をさまざまな角度から予防してくれます。
・善玉菌の増殖をサポートしてくれる
・プラークの形成を抑制してくれる
・唾液の分泌を促してくれる
・炎症性物質の生成を抑えてくれる
善玉菌の増殖をサポートしてくれる
乳酸菌は、善玉菌の増殖を促し、悪玉菌の活動を抑制します。
こちらの働きにより、口内の歯周病菌における力が弱くなり、歯周病を予防することにつながります。
プラークの形成を抑制してくれる
歯周病は、さまざまな原因で発症する病気ですが、直接的な原因は、歯や歯茎周辺に付着したプラークです。
乳酸菌には、こちらのプラークの形成を抑制してくれる作用があるため、歯周病を予防したり、悪化を防いだりしてくれます。
唾液の分泌を促してくれる
乳酸菌は、唾液の分泌を促す効果があります。
また、唾液は自浄作用、抗菌作用、口腔内pHを一定に保つ作用などがあり、口内の健康を維持します。
そのため、歯周病菌に対抗するための効果も発揮してくれます。
炎症性物質の生成を抑えてくれる
乳酸菌は、炎症性物質の生成を抑える働きも持っています。
免疫細胞は、身体の中で異物を認識すると、炎症性物質を生成し、免疫反応を活性化させます。
しかし、炎症性物質の分泌が過剰になると、次々と炎症反応が起こります。
乳酸菌は、免疫細胞のバランスを整える効果があるため、歯周病菌による歯茎の炎症を抑えてくれます。
歯周病予防効果のある乳酸菌の種類
一口に乳酸菌といっても、その種類はさまざまであり、主に以下のようなものがあります。
・LS1
・ロイテリ菌
・L8020
・WB21
LS1
LS1は、口内にもともと存在する善玉菌です。
こちらには、歯周病の原因菌であるジンジバリス菌という細菌を減少、抑制する効果があります。
また、口臭の予防や改善にも効果があります。
ロイテリ菌
ロイテリ菌は、人の母乳に含まれている乳酸菌です。
口内においては、歯周病菌だけでなく、虫歯の原因菌であるミュータンス菌を減少させる効果も発揮します。
ちなみに、ロイテリ菌には、胃腸機能の回復や改善、ピロリ菌の抑制、アトピー性皮膚炎の改善など、他にもさまざまな効果があります。
L8020
L8020は、虫歯菌や歯周病菌を減少させ、繁殖を防ぐ効果が実証されている乳酸菌です。
善玉菌を増やし、細菌のバランスを整えることが可能です。
また、口内にあるカビの一種であるカンジダ菌も抑制してくれます。
WB21
WB21は、健康な人の口内から発見された善玉菌の一種です。
もともと人が持っている常在菌で、身体の悪玉菌を退治する力があり、口内においては、歯周病菌、虫歯菌、カンジダ菌にも効果があります。
乳酸菌を多く含む食材
歯周病予防として乳酸菌を取り入れる際は、以下のような食材を摂取するのがおすすめです。
・ヨーグルト
・チーズ
・キムチ
・漬物
ヨーグルトの発酵には乳酸菌が用いられていて、こちらは手軽に摂取できるため、習慣づけるにはピッタリの食材です。
チーズに関しては、生きた乳酸菌が多く含まれているナチュラルチーズを摂取しましょう。
その他、キムチや漬物も発酵食品であり、乳酸菌が含まれています。
ただし、キムチを加熱すると乳酸菌が死滅するため、注意してください。
また、浅漬けなどの調味液で漬けられていて、発酵していない漬物には乳酸菌が含まれていません。
効果的な乳酸菌の摂取方法
歯周病予防の一環として、日々の生活で乳酸菌を摂取する際は、以下のポイントを押さえておきましょう。
・毎日摂取する
・食物繊維やオリゴ糖とあわせて食べる
一度に大量の乳酸菌を摂取しても、ずっと体内にとどまることはなく、一定期間を過ぎると体外に排出されてしまいます。
そのため、乳酸菌はなるべく毎日摂取しなければいけません。
摂取し続けることにより、歯周病予防以外の効果についても、少しずつ実感できるようになってきます。
また、食物繊維やオリゴ糖には、乳酸菌の増殖を助ける作用があるため、それらを多く含む食品とあわせて、乳酸菌を摂取するのが効果的です。
食物繊維は、納豆やキノコ類、海藻類や根菜類などに多く含まれていて、オリゴ糖は大豆やバナナ、タマネギなどに多く含まれています。
いずれの栄養素も、毎日の食事で摂取しやすいため、ぜひ採り入れてみてください。
まとめ
ここまで、乳酸菌の持つ歯周病予防効果について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
ブラッシングを徹底することは、歯周病予防における基本ですが、どれだけ気を付けていても、多少は磨き残しが出てしまうものです。
すべてのプラークを口内から排除することは、基本的には不可能です。
そのような場合に備え、乳酸菌を摂取し、歯周病を予防しやすい身体をつくることは、とても大切です。