歯周病は、気付かないうちに症状が進行していることが多く、そのリスクは誰もが抱えています。
また、特に妊婦さんについては、歯周病を発症しやすいとされています。
今回は、妊婦さんが歯周病になりやすい理由や、歯周病が胎児に与える影響などについて解説したいと思います。
妊婦さんが歯周病になりやすい理由3選
妊婦さんが歯周病を発症しやすい理由としては、以下のことが挙げられます。
・ホルモンバランスの影響
・食生活の変化
・悪阻の影響
ホルモンバランスの影響
妊娠中の女性は、卵巣から分泌されるエストロゲン、プロゲステロンといった女性ホルモンが過剰に分泌され、しばしばバランスが崩れてしまいます。
また、歯周病菌は、こちらの女性ホルモンを栄養源に増殖するため、妊婦さんは必然的に歯周病のリスクが高くなります。
妊娠中、エストロゲンの分泌量は最大で通常時の約30倍にまで及ぶと言われていて、過剰にエストロゲンが分泌されるということは、それだけ歯周病菌が増殖する可能性が高まるということを意味します。
食生活の変化
口内が酸性に傾くと、虫歯を発症しやすくなります。
また、妊婦さんは酸っぱいものを食べたいなどの嗜好品の変化や、食べる回数が増えるなどの食生活の変化により、口内が酸性に傾きやすくなります。
そして、虫歯を発症すると、その周りには汚れがつきやすくなり、汚れが増えれば増えるほど、歯茎の炎症にもつながり、歯周病の原因になることがわかっています。
悪阻の影響
妊婦さんにおけるわかりやすい身体の変化の一つに、悪阻(つわり)が挙げられます。
こちらがひどくなると、飲食物や歯磨き粉の香りで吐き気を催すことがあり、歯ブラシを口に入れるだけでも、嘔吐反射がひどくなる可能性があります。
また、このような状態では、これまでのような口内ケアが十分にできなくなります。
その結果、口内が不衛生になり、歯周病のリスクを高めてしまいます。
歯周病が胎児に与える影響
歯周病の発症は、炎症や痛み、出血など、当然妊婦さん自身にも悪影響を与えるものですが、お腹の中にいる胎児にも良くない影響を与えることがあります。
中でも特筆すべきは、低体重児出産、早産のリスクが高まるということです。
妊婦さんが歯周病である場合、健康な状態に比べて、低体重児出産や早産のリスクがおよそ7倍高くなると言われています。
こちらは、アルコールやタバコよりも高い数値であり、子宮収縮作用のあるプロスタグランジンの分泌を、サイトカインが促すことが理由です。
サイトカインは、炎症によって増える生理活性物質であることから、歯周病によって過剰に増加してしまうと考えられます。
妊娠中の歯周病を予防する方法
妊娠中の歯周病を予防するためには、以下のような対策を取ることが大切です。
・体調が良いときにしっかりブラッシングをする
・水分をこまめに摂る
・ガムを噛む
体調が良いときにしっかりブラッシングをする
悪阻がひどく、なかなかブラッシングができない場合には、体調が良い時間帯に重点的に磨くことをおすすめします。
また、歯ブラシを口に入れると気分が悪くなるという方は、子ども用の小さな歯ブラシで磨くことにより、負担が軽減されます。
その他、歯磨き粉のニオイが苦手な方は、何もつけずに磨くというのも一つの方法です。
水分をこまめに摂る
口内が乾燥していると、歯周病の原因となる細菌が繁殖しやすくなるため、こまめに水分を摂って口内を潤しましょう。
ただし、糖分を含むジュースや炭酸飲料、牛乳などの乳飲料は、プラークができる原因になるため、水やルイボスティーのようなノンカフェインかつ無糖の飲み物がベストです。
ガムを噛む
ガムを噛むことにより、唾液腺が刺激され、唾液の分泌が促進されます。
また、妊婦さんにはキシリトールの含有率が高い歯科用のガムがおすすめです。
ただし、体調が悪くガムを噛むのが難しいという場合は、無理に噛もうとせず、顎の下にある唾液腺を軽くマッサージするなどして代用しましょう。
妊娠中でも歯科クリニックで治療を受けられる?
妊娠中に歯周病を発症してしまった場合、歯科クリニックでの治療を検討する方もいるかと思いますが、基本的に安定期に入るまで、通院はおすすめできません。
そのため、もし妊娠初期で歯周病にかかってしまったのであれば、とりあえず応急処置をしてもらいましょう。
歯科クリニックの医師に対し、妊娠初期であることを伝え、身体に負担がかからないような処置をしてもらい、安定期に入ったタイミングで、本格的な治療を受ければ安心です。
まとめ
ここまで、妊婦さんが歯周病になりやすい理由、歯周病が胎児に与える影響などについて解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
妊娠中は、体調を崩しやすいだけでなく、口内環境も乱れやすくなります。
また、こちらは今後生まれてくる赤ちゃんにとっても良くありません。
そのため、できる限り歯周病や虫歯を防ぐための対策を取り、必要であれば歯科クリニックの力を借りることも検討してください。