歯周病は、多くの方が気付かないうちに発症している感染症の一種です。
日本だけでも、数百万人以上が感染していると言われています。
また、自覚症状が出にくいだけでなく、さまざまな身体の仕組みに関わっているところが厄介なポイントです。
ここからは、歯周病とストレスの主な関係性について解説したいと思います。
ストレスが歯周病の発症や悪化につながる理由
どのような境遇の方であっても、日々生活していると、ある程度のストレスを抱えるものです。
また、ストレスは歯周病の発症、悪化につながる原因の一つとされています。
その理由としては、主に以下のことが挙げられます。
・交感神経が優位になる
・歯ぎしりや食いしばりが増える
・免疫力が低下する
・食生活が乱れる
・歯磨きがおろそかになる
交感神経が優位になる
日常生活においてストレスが溜まると、主に交感神経が優位になり、唾液の分泌量が少なくなります。
唾液の中には、ラクトフェリンやリゾチーム、免疫グロブリンといった、歯周病菌に対するさまざまな免疫物質が含まれているため、こちらが減少すると、歯周病の発症や悪化につながりやすくなります。
歯ぎしりや食いしばりが増える
歯ぎしりや食いしばりがある方は、歯周病が重症化しやすいと言われています。
また、こちらはストレスや睡眠の質との関連があります。
眠りの浅い方は、就寝時の歯ぎしりや食いしばりが頻繁に起こりますが、ストレスが溜まり、疲労が溜まった状態や、ストレス発散のためにアルコールを摂取しすぎたときなどは、眠りが浅くなり、歯ぎしりや食いしばりが助長されます。
これにより、歯や歯茎を支える組織に異常な力が加わり、歯周病の症状が悪化することがあります。
免疫力が低下する
人の身体がストレスを受けると、脳下垂体から副腎皮質刺激ホルモンが分泌され、副腎からコルチゾールに代表される副腎皮質ホルモンが多量に分泌されるようになります。
コルチゾールは、免疫活動を担っているリンパ球の働きを阻害し、リンパ球の働きが低下することにより、免疫力が低下し、歯周病の原因になります。
食生活が乱れる
ストレスが溜まっている方は、毎日夜遅くまで働いていたり、料理をする時間や余裕がなかったりするため、食生活が乱れがちになります。
不規則な食事を摂っている場合、血行不良などが起こり、歯周病に対する抵抗力が弱まって、症状が出やすくなることが考えられます。
また、歯周病はプラークによって、歯茎に炎症が起きる病気ですが、ストレスで食生活が乱れ、間食などで甘いものや柔らかいものをたくさん摂る場合、歯にプラークが付きやすく、こちらも歯周病のリスクを高めます。
歯磨きがおろそかになる
一日だけまともに動けないような状態であれば問題ありませんが、疲れやストレスは長期的に感じるものです。
そのため、ストレスが蓄積されている方は、日々の歯磨きがおろそかになり、歯周病だけでなく、虫歯のリスクも高めてしまいます。
ストレスが顎関節症につながることも
日々のストレスは、歯周病や虫歯の発症、悪化につながるだけでなく、顎関節症を引き起こす可能性もあります。
顎関節症は、口を開けたときに顎が痛い、異音がする、口を開けづらいといういずれかの症状を持つ関節障害です。
以前、顎関節症の原因は噛み合わせと考えられていましたが、近年では噛み合わせのみならず、関節や筋の形態、ストレス、不安などが積み重なり、身体の許容量を超えたところで発症すると考えられています。
ストレスが強い状況下では、咀嚼筋の活動が増し、強く噛みしめてしまう傾向があり、こちらが顎関節の負担を増加させ、顎関節症の原因になることがあります。
ストレスを溜めないようにするには?
ストレスの感じ方は人によって異なりますが、現代社会において生活するにあたって、完全にゼロにすることは難しいです。
しかし、以下のような工夫により、極力ストレスを溜めず、歯周病のリスクを下げることは可能です。
・運動をする
・趣味を楽しむ
・感情を発散する
・十分な休息を取る
・入浴をする
・生活習慣を改善する
・日光浴をする
中でも入浴は、時間の余裕がない方でも手っ取り早く行えるストレスの解消法です。
入浴をすることにより、活動中に優位になる交感神経が、リラックス時に優位となる副交感神経に切り替わります。
ちなみに、生活習慣でもっとも気を付けたいのは、加工食品の摂取を避けることです。
レトルト食品、冷凍食品などの加工食品には、さまざまな添加物が含まれています。
添加物は、消化時の内臓の負担を大きくするだけでなく、食品添加物などの化学物質を摂り入れることにより、知らず知らずのうちにストレスが溜まりやすい体質になります。
まとめ
ここまで、歯周病とストレスの主な関係性について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
ストレスは歯周病の発症や悪化につながり、過剰なストレスは頭痛や肩こり、下痢などの不調のほか、胃十二指腸潰瘍や円形脱毛症などの疾患を引き起こすこともあります。
そのため、日頃からできる限りストレスを軽減させ、うまく付き合うことを意識しなければいけません。