歯周病は誰もが発症する可能性のある病気で、実際悩んでいる方も多いです。
また歯周病を患う方の中には、矯正治療を受けたいと考える方もいます。
歯並びや噛み合わせが悪いままだと、日常生活においてさまざまな不具合が生じます。
ここからは、歯周病と矯正治療の関係性について解説したいと思います。
歯周病でも矯正治療は受けられる?
結論からいうと、歯周病でも矯正治療を受けることは可能です。
古くから歯周病の分野では、歯並びが悪いと歯周病を悪化させると言われてきました。
こちらはプラークコントロールがしにくくなることが理由です。
また歯周病が進行するにつれて、自然に病的な歯の移動が起こります。
このことかから、矯正治療は歯周病治療の一環として認識され始めました。
このような歯周病を患った方の矯正治療は歯周矯正治療と呼ばれます。
歯周病患者の方の歯を矯正することで、咬合力の負担が適切な方向に分散されます。
その結果、周囲骨の一部が回復する可能性があります。
必ずしも矯正治療を受けられるとは限らない
先ほど歯周病でも矯正治療を受けられるという話をしましたが、例外もあります。
矯正治療を受けられるのは、あくまで軽度～中程度の歯周病の方です。
重度の歯周病では矯正治療が困難になる可能性が高いです。
重度の歯周病の場合は歯を支える骨が吸収され、歯を支えきれなくなることがあります。
このような状態では、歯周組織が矯正治療の負担に耐えられないことが考えられます。
そのため、まずは歯科クリニックで歯周病治療を受けなければいけません。
矯正治療を行うのは、歯周病の症状が改善した後です。
歯周病治療の内容について
重度の歯周病の方は、まず歯科クリニックで歯科検診を行います。
歯周病の検査を受け、症状があることをあらためて確認した上で治療に入っていきます。
矯正治療の前に行う歯周病治療としては、歯石取りやクリーニングが挙げられます。
歯周病の原因はプラークや歯石であり、こちらを除去せずに改善することはありません。
また歯周病を改善するには、生活習慣の改善も必要です。
睡眠不足やストレスが発散されていないと、免疫力が低下します。
こちらは歯茎の腫れなど、歯周病の症状を悪化させることにつながります。
その他喫煙も歯周病菌を増殖させる要因であるため、禁煙は必須です。
歯周病のまま矯正治療を受けるとどうなる?
重度の歯周病のまま矯正治療を受けることで、以下のようなリスクが高まります。
・歯周病の悪化
・歯が早く移動する
・歯肉退縮
適切な治療を受けずに矯正治療を受けると、歯茎にはさらにダメージが蓄積します。
こちらは歯周病の進行を加速させる原因になります。
また重度の歯周病の場合、矯正治療によって通常よりも早く歯が動くことがあります。
一見良いことのように思えますが、実際はそうではありません。
歯が早く動くと、歯や歯茎を支える骨に過度のストレスを与えてしまいます。
その結果、歯肉退縮を引き起こすことも考えられます。
さらに症状が悪化すれば、当然歯が抜けてしまう可能性もあります。
歯周病の方が受ける矯正治療の種類
歯周病の方が行う矯正治療は、主にワイヤー矯正とマウスピース矯正の2種類です。
ワイヤー矯正は従来のブラケットを付ける方法で、長い歴史があります。
しかしワイヤーの周りが不潔になりやすいため、丁寧なブラッシングが求められます。
その他、歯を動かす力のコントロールが難しいのもデメリットです。
またマウスピースは、マウスピース1枚で歯を動かす最大量が決まっています。
そのため、計画的に歯を少しずつ移動させられます。
歯周病の方でも過度の力がかかる心配がなく、とても安全性が高いです。
さらにマウスピースはワイヤーとは違い、矯正期間中でも取り外せます。
このことから歯ブラシによるケアがしやすく、歯周病の進行もある程度抑えられます。
ただしワイヤーと比較して、そこまで大きく歯を移動させることはできません。
術者の技術により、治療結果に差が出ることも考えられます。
矯正治療が原因で歯周病になることはある?
矯正治療が原因で歯周病になる可能性はゼロではありません。
矯正治療はあくまで歯を移動させる治療です。
そのため、プラークや歯石が溜まって発症する歯周病と直接的な関係性はありません。
ただし、矯正装置を装着している関係で歯が磨きにくくなることはあります。
またマウスピースなどであっても、清潔に保てないと細菌の数は増殖します。
これらの原因により、歯周病を発症してしまうことはあります。
そのため歯周病治療なしで矯正治療ができる方も、決して油断してはいけません。
まとめ
ここまで、歯周病と矯正治療の関係性について解説してきました。
歯周病に苦しむ方であっても、矯正治療を受けることは可能です。
しかし場合によっては歯石取りなど、先に歯周病の症状を改善させなければいけません。
矯正治療はある程度問題なく歯を移動させられる方が受ける治療です。
歯周病が重度もしくは末期にまで進行していると、十分な効果が期待できません。
