歯周病の主な症状の一つに、歯茎からの出血が挙げられます。
こちらは、歯周病を根本から治さなければ、なかなか改善するのが難しいですが、患者さん自身の工夫により、ある程度防止することは可能です。
今回は、歯周病による歯茎からの出血を抑える方法について解説します。
歯周病によって歯茎から出血する仕組み
歯茎からの出血は、歯周病の原因であるプラークという細菌の塊が、歯の周辺や表面、歯と歯の間に蓄積されることによって引き起こされます。
プラークがきちんと取り除かれていないと、歯茎が炎症を起こし、出血につながるという仕組みです。
また、出血をそのままにしておくと、プラークは歯周ポケットの中に潜り込み、どんどん歯周組織を破壊していき、炎症を繰り返します。
このとき、炎症によって出てくる毒性物質が歯茎の血管から全身に入り、さまざまな病気を引き起こしたり、悪化させたりすることも考えられます。
歯周病による歯茎からの出血を抑える方法6選
歯周病により、歯茎からの出血が頻繁に見られるという方は、生活習慣の見直しも兼ねて、以下のような方法を実践してみましょう。
・適切な歯ブラシを選択する
・歯の磨き方を見直す
・殺菌作用のある歯磨き粉を使用する
・ノンアルコールのマウスウォッシュを使用する
・冷たい水で口をゆすぐ
・ガーゼやティッシュで出血箇所を押さえる
適切な歯ブラシを選択する
歯周病による歯茎からの出血を防ぐには、まず適切な歯ブラシを選択することが大切です。
具体的には、ヘッドが小さく、やわらかめで毛先が丸いタイプの歯ブラシ、もしくは電動歯ブラシを使用することで、出血はある程度抑えられます。
逆に、ヘッドが大きいものや硬いものなどを選択すると、よりブラッシング時における出血のリスクは高くなります。
歯の磨き方を見直す
歯周病を少しでも改善させるために、強い力を入れてゴシゴシとブラッシングしている方は多いかと思いますが、こちらは歯茎の炎症の原因となり、かえって出血のリスクを高めることにつながりかねません。
適切な方法としては、まず歯ブラシの先端を歯と歯茎の境目を中心に、45度の角度で当て、細かく振動させるイメージで磨きます。
このとき、炎症がある場合は、決して強くこすらないようにしましょう。
また、ブラッシング時の出血が止まってきたら、歯と歯の間などのプラークを除去する、補助清掃用具の歯間ブラシやデンタルフロスなどを併用することで、さらなる改善が期待できます。
殺菌作用のある歯磨き粉を使用する
歯周病により、歯茎からの出血が頻繫に見られる場合は、歯磨き粉選びにも工夫しましょう。
具体的には、泡立ちが少なく、殺菌作用のあるジェルタイプの歯磨き粉がおすすめです。
ジェルタイプの場合、ブラッシング時の摩擦は軽減されますし、適度なマッサージ効果も得られます。
また、殺菌作用により、歯茎の出血も徐々に治まってきます。
ちなみに、歯磨き粉の殺菌成分として挙げられるのは、クロルヘキシジン、塩化セチルピリジニウム、イソプロピルメチルフェノールなどです。
歯磨き粉を購入する際には、これらの成分が含まれているかどうか、成分表を見て確認してください。
ノンアルコールのマウスウォッシュを使用する
普段ブラッシングをした後、オーラルケアの一環としてマウスウォッシュを使用しているという方もいるでしょう。
しかし、歯茎からの出血がひどい場合は、アルコール入りのマウスウォッシュを使用してはいけません。
こちらを使用すると、アルコールによる刺激と乾燥により、出血量が増加するおそれがあります。
そのため、どうしてもマウスウォッシュを使用したいというのであれば、アルコール成分が少ないもの、もしくはノンアルコールのマウスウォッシュを使用しましょう。
ノンアルコールの製品であるかについては、基本的にその製品のパッケージに記載されています。
冷たい水で口をゆすぐ
歯周病による歯茎の出血が見られた場合は、冷たい水で出血した箇所を冷やすのも有効です。
こうすることで、血流が抑えられ、出血が止まりやすくなります。
逆に、温かいお湯などでゆすぐと、歯茎の血の巡りが良くなり、出血量が増えたり、血が止まりにくくなったりするため、注意が必要です。
ガーゼやティッシュで出血箇所を押さえる
こちらは稀なことですが、歯茎からの出血がなかなか止まらず、それも出血量が多いという場合は、清潔なガーゼを使用し、出血箇所を優しく押さえましょう。
こちらは、血液の凝固を促し、出血が止まりやすくなることにつながります。
もし、自宅に清潔なガーゼがなければ、ティッシュで代用しても構いません。
まとめ
ここまで、歯周病による歯茎からの出血を抑える方法について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
今回解説したのは、あくまで歯茎からの出血を抑える方法であり、歯周病を治す方法ではありません。
そのため、前述した方法で出血が抑えられたとしても、歯茎に頻繫に出血する場合、歯茎に問題がある可能性は高いため、なるべく早く通院してください。