歯周病という病名について、一度も聞いたことがないという方はいないかと思います。
しかし、その原因や細かい症状などについては、あまり知られていないことが多いです。
ここからは、歯周病の原因や症状に関することについて解説しますので、興味がある方は最後までご覧ください。
歯周病の原因について
歯周病の代表的な原因は、プラークや歯石の付着です。
具体的には、プラークや歯石が溜まることにより、歯周病菌が繁殖し、歯を支えている骨が徐々になくなってくることが原因です。
また、他にも歯並びの悪さや、噛み合わせの負担などにより、局所的に負担がかかった場合や、歯ぎしり、食いしばりなどが影響していることもあります。
ちなみに、一度発症した歯周病は、糖尿病などの基礎疾患や喫煙などによる血行障害などにより、口内の抵抗力が弱まり、さらに進行することが考えられます。
歯周病の進行過程について
歯周病は、ある日突然重度の症状が出るわけではなく、徐々に進行する病気です。
そのため、重度になってから治療するのではなく、早い段階から予防することが大切です。
また、歯周病は以下のような過程で進行していきます。
・歯肉炎
・軽度の歯周炎
・中度の歯周炎
・重度の歯周炎
歯周病は、歯肉炎と歯周炎をあわせた総称です。
歯肉炎は、プラークが溜まった状態を放置したことで起こり、歯茎の炎症や2~3mmの隙間が見られます。
また、軽度の歯周炎は、歯茎の炎症がひどくなり、歯周病菌が歯周組織に侵入し始めます。
このとき、歯槽骨や歯根膜も破壊され始めます。
そして、中度の歯周炎は、炎症がさらに拡大し、歯槽骨も半分近くまで破壊が進み、歯がぐらつきます。
それでも治療せずにいると、歯槽骨が半分以上破壊され、歯は抜け落ちそうなほどグラグラになり、ここまで行くと重度の歯周炎と判断されます。
歯周病の予防法について
歯周病の予防法として効果的なのは、やはり自宅で行うセルフケアです。
具体的には、まず食後の歯磨きの際に、丁寧にプラークを除去することが挙げられます。
歯を磨くときには、力をかけず歯ブラシの毛先を歯面に直角に当て、丁寧に優しく全体を磨きます。
また、表面を磨くだけでなく、歯と歯茎の間のケアも大切です。
歯間ブラシやデンタルフロスなど、歯ブラシ以外のアイテムも使用し、確実に歯と歯の間の汚れを落とします。
その他、セルフチェックとして、きちんとプラークが落とせているかどうか、自宅で月1~2回程度、定期的に歯の染め出し液(染色液)で、歯の表面のプラークを染め出すのもおすすめです。
こうすることで、どこを自身が磨き残しやすいのかを視覚化し、意識しながら歯磨きの仕方を改善することができます。
歯周病の治療法について
一度歯周病になってしまうと、残念ながら自然に治ることはありません。
そのため、歯科クリニックで適切な歯周病治療を受ける必要があります。
具体的には、以下のような治療です。
・歯磨き指導
・歯石除去
・歯周外科
歯磨きは歯周病治療の基本です。
歯科クリニックでは、良い歯ブラシの選び方、持ち方、毛先の当て方、動かし方などについて指導します。
また、先のとがった器具を用いて、1本1本歯石を取り除いたり、超音波などを用いて歯石を破壊し、水で洗い流したりする治療も行います。
その他、麻酔をして歯茎を開き、普通は見えない深い場所や歯の間の歯石を取り除く歯周外科手術を行うこともあります。
凸凹した歯槽骨の形を整えたり、歯周ポケットを減らしたりして、清掃しやすい環境にするのも、歯周外科治療の一環です。
ちなみに、不適合な修復物のやり直しや、噛み合わせの調整、抜歯や全身の健康管理などを行うケースもあります。
虫歯と歯周病の関係性について
虫歯と歯周病は、原因となる菌が異なります。
また、虫歯は歯が侵食されるもので、歯周病は歯を支えている骨がなくなってくるものであるため、一回も虫歯になったことがない方でも、歯周病を発症することはあります。
ちなみに、口内には虫歯菌、歯周病菌の両方が存在していますが、どちらかの比率が極端に高いと、虫歯になりやすい、歯周病が進行しやすいという状態になります。
歯周病の伝染について
歯周病菌の原因は、前述の通りプラークや歯石によって繁殖した歯周病菌です。
こちらは、虫歯と同様に、唾液を介して伝染することがあります。
そのため、自身だけでなく、子どもなどの大切な人を守るためにも、しっかりとケアをすることは必要です。
自宅で行うセルフケアとあわせて、定期検診などで歯のクリーニングを行うことで、早期に口内の問題を見つけることができます。
まとめ
ここまで、歯周病の原因や症状に関することを中心に解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
歯周病は、知らず知らずのうちに症状が進行し、気付いたら手遅れになっていることも多い症状です。
また、歯が抜け落ちるなど、口内の問題につながるだけでなく、全身疾患を引き起こすこともあるため、自身で行う予防、歯科クリニックで行う定期検診、クリーニングなどはとても重要です。