歯周病にかかっている、もしくは歯周病の疑いがある方は、「症状を和らげたい」「できれば完治させたい」と考えるでしょう。
では、歯周病は自身の行動によって完治したり、回復したりすることはあるのでしょうか?
今回は、こちらの点について詳しく解説したいと思います。
歯磨きで歯周病は治るのか?
歯周病における基本的な対策と言えば、やはり歯磨きが挙げられますが、残念ながら歯磨きだけで治すことはできません。
歯周病が進行すると、顎の骨が溶かされ、骨の上にある歯茎も追従するように下がっていきます。
一度溶かされてしまった骨は自然に再生することがないため、歯磨きをしても完治しません。
ただし、まだ初期症状の場合、歯磨きをしっかりするのとしないのとでは、今後の歯周病の進行にかなりの違いが出ます。
歯周病は、初期段階である歯肉炎の段階ですぐに発見でき、すぐに歯科クリニックでの治療に入ることができれば、ある程度改善し、ほぼほぼ症状はなくなります。
このとき、歯磨きをはじめとするセルフケアをあわせて行うことにより、状態はかなり改善します。
うがいで歯周病は治るのか?
自宅で行える歯周病のケアには、歯磨きだけでなく、殺菌効果のあるうがい薬の使用も挙げられます。
しかし、歯磨きと同様、うがい薬でうがいをだけでは、歯周病が治ることはありません。
歯周病を患っている方の口内では、歯周病菌が結びつき、バイオフィルムと呼ばれるバリアをつくり出します。
こちらは、うがい薬の殺菌成分を跳ねのけてしまいます。
こちらのバイオフィルムは、台所のシンクに生じるぬめりと同じようなものです。
洗剤をかけても、水で洗っても、シンクのぬめりが取れないのと同じように、口内のバイオフィルムも、うがい薬などを使用するだけでは簡単に除去できません。
歯周病を治す薬はあるのか?
歯周病は感染症の一つであり、治療薬が存在してもおかしくありませんが、残念ながら歯周病を根絶させる薬は存在しません。
現行の薬は、あくまで症状を一時的に抑えるもの、つまり対症療法として使用する抗生剤です。
歯周病の薬が存在しないことには、いくつかの理由があります。
歯周病になる原因は、歯周病菌だけではありません。
菌に対する身体の免疫力も深く関係しています。
つまり、菌に対して過剰に反応するような歯周病体質の方は歯周病になりやすく、かつ悪化もしやすいということです。
もし、歯周病菌に対する薬が開発されたとしても、こちらの体質までカバーできなければ、歯周病をなくすことはできません。
また、歯周病菌の正体は、まだ完全には解明されていません。
そのため、歯周病菌だけを根絶させ、完治させる薬を開発するということは、現段階では不可能です。
歯周病を食べ物の摂取で治すことはできる?
歯周病は、歯磨きやうがいなどを行っても、完全に治すことはできません。
そのため、食べ物の摂取により、内側から治すことも難しいです。
ただし、歯周病の予防効果のある食べ物を摂取すれば、発症や悪化のリスクを軽減させることはできます。
具体的には、腸内環境を整え、免疫力を向上させる乳酸菌を含む食べ物や、細胞の修復を促進するビタミンCなどは、積極的に摂取すべきです。
その他、抗酸化作用の高いトマトやニンジン、カボチャなどの野菜、大豆などの食品も歯周病予防につながります。
【結論】歯周病の改善には歯科治療が必須
歯磨きなどのセルフケアでも、歯周病を予防することはできますが、ある程度進行している場合は、基本的に歯科クリニックで治療を受けなければいけません。
歯科クリニックで行われる歯周病の基礎治療としては、主にスケーリングやルートプレーニングが挙げられます。
スケーリングは、肉眼で見える歯石とポケットの中の見えない歯石を除去するもので、歯石を取った後のザラザラした歯面を平らにするのがルートプレーニングです。
こちらの2つが、歯周病の基本治療として大事な処置です。
また、スケーリング、ルートプレーニング終了後、1ヶ月くらい様子を見て、歯茎の状態を再び確認します。
こちらを再評価といいます。
歯周病治療に回数がかかる理由
前述したような歯周病治療は、何度か歯科クリニックに足を運んで受ける必要があります。
一度進行してしまった歯周病は、歯の表面だけでなく、歯周ポケットの中まで汚れが溜まっています。
このような状態の場合、全体の歯周ポケットの中の汚れを除去する必要があります。
また、こちらの治療には麻酔が必要になることもありますが、一度ですべての歯を麻酔し、治療を行うことは身体的負担、治療時間の確保を考えると難しいため、治療にはある程度の回数が必要になります。
まとめ
ここまで、歯周病の完治や回復に関することを中心に解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
初期段階の歯周病であれば、丁寧な歯磨きなどである程度改善しますが、進行してしまった場合、歯科クリニックで治療を受けなければ完治は難しいです。
また、サイレントディジーズ(静かなる病気)とも呼ばれる歯周病は、気付いたら進行していたというケースも多いため、注意してください。