歯周病は誰しもが発症する可能性のある病気ですが、さまざまなアプローチによって予防することができます。
代表的な予防方法としては、やはり毎日のブラッシングが挙げられますが、ガムを噛むことも一つの選択肢です。
今回は、歯周病予防としてガムを噛む際のポイントについて解説します。
歯周病予防にガムが向いている理由
ものを咀嚼すると、唾液が多く分泌されるようになります。
唾液には、口内を潤して食べ物から粘膜を保護したり、抗菌作用によって細菌、ウイルスから身体を守ったりする効果があり、これらの効果は歯周病予防に効果を発揮します。
また、ガムは長時間噛むものであるため、このような歯周病の予防効果につながる可能性が高いです。
そのため、まだ症状が出ていない方、すでに炎症などの症状が出ている方のいずれも、1日に1~3粒程度ガムを噛むことをおすすめします。
ラクトフェリンが含まれるガムがおすすめ
歯周病予防として噛むべきガムは、ラクトフェリンという成分が含まれるものです。
ラクトフェリンは、唾液の抗菌作用に関する物質で、母乳などにも含まれ、さまざまな免疫機能にも関係します。
具体的には、歯周病菌から発生する毒素の働きを抑制し、免疫力を高める効果があるため、製品を選ぶ際には、こちらが含まれているかどうか、成分表で確認しましょう。
キシリトールも歯周病予防には欠かせない
歯周病予防の一環としてガムを噛む場合は、キシリトールが含まれているかどうかも欠かさずチェックしましょう。
キシリトールは糖アルコールの一種ですが、虫歯の原因にはならないとされています。
そのため、多くのガムに含まれています。
また、キシリトールには、プラークを除去しやすくする効果や、プラークが形成されるのを抑制する効果があります。
そのため、キシリトール入りのガムを噛むことで、歯周病の原因となるプラークを減らすことができます。
キシリトールには虫歯の予防効果もある
キシリトール入りのガムを噛むことで、歯周病予防の効果を得ることができますが、こちらの成分は虫歯予防にもつながります。
先ほども触れたように、キシリトールは虫歯の原因にはなりません。
こちらは、キシリトールを摂取しても、口内の細菌は虫歯の原因となる酸を産生することができないことが理由です。
また、キシリトールは、虫歯の主な原因とされるミュータンス菌の活動を弱める働きがあり、歯の再石灰化を促して歯を強くする効果もあるため、虫歯予防の一環としても積極的に摂り入れるべき成分だと言えます。
歯周病予防としてのガムの正しい噛み方
歯周病予防の一環としてガムを噛む場合は、食後のタイミングで噛むことがポイントです。
このとき、味がなくなっても、15分以上噛み続けることをおすすめします。
こうすることで、長時間歯の表面にキシリトールやラクトフェリンが触れるとともに、唾液の分泌量が増え、歯周病の予防効果が高まります。
また、ガムを噛んだときに分泌された唾液は、すぐに飲み込んではいけません。
こちらは、有効成分をできるだけ長く口内に停滞させるためです。
ちなみに、ガムを噛むことによる歯周病予防は、ブラッシングと同じで毎日継続することが望ましいです。
ガムを噛みすぎることのデメリット
歯周病予防としてガムを噛む場合は、1日1~3粒が目安です。
それ以上噛んでしまうと、歯の表面にあるエナメル質が擦り減り、噛み合わせが深まったり、歯と歯の間に隙間ができたりするおそれがあるため、注意してください。
その他、エナメル質が擦り減ったことで知覚過敏になり、冷たいものや熱いものがしみる可能性もあります。
また、ガムを長時間噛みすぎることにより、エラが張ってきたり、顔の下半分が短くなったりと、顔貌にも影響が出ることがあります。
さらに、ガムを噛む歯が左右のいずれかに偏っていると、噛んでいる方の筋肉や骨ばかりが発達し、顔の形が左右非対称になることも考えられます。
ガムを噛むだけでは歯周病は予防できない
ガムを噛むことには、確かに歯周病の予防効果がありますが、こちらはあくまで補助的なものと考えましょう。
歯周病の直接的な原因は、歯や歯茎周辺に付着したプラークです。
ガムを噛み、唾液が増えることで細菌を洗い流すことはできますが、プラークを落とすことができません。
そのため、ブラッシングを行うことは大前提であり、「ガムを噛んでいるから歯を磨かなくても大丈夫」とは考えないようにしましょう。
ちなみに、歯周病予防として噛むべきガムは、当然糖分が含まれていないものでなければいけません。
製品を選ぶ際は、事前に成分表で糖類が0gになっているかどうか確認しましょう。
まとめ
ここまで、歯周病予防としてガムを噛むときのポイントについて解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
1日数粒、意識してしっかりとガムを噛むことにより、歯周病の予防や症状の改善につながります。
また、ブラッシングや歯科クリニックでの定期検診などを組み合わせることで、より歯周病菌の付け入る隙を与えず、健康な口内環境を維持することができます。