歯周病予防の基本は、毎日の歯磨きや定期的な歯石除去です。
また、生活習慣を改善し、細菌感染のリスクを減らすことも大切であり、こちらの一環として、豊富な栄養素をさまざまな食品から摂取することも挙げられます。
ここからは、歯周病予防に効果的な栄養素について解説したいと思います。
歯周病予防に効果的な栄養素6選
食生活の改善により、歯周病を予防するにあたっては、以下のような栄養素を積極的に摂取する必要があります。
・タンパク質
・ビタミンA
・ビタミンB群
・ビタミンC
・ビタミンD
・カルシウム
タンパク質
私たちの歯茎は、コラーゲン線維で構成されています。
その歯茎の成分の約60%はコラーゲンであり、こちらはタンパク質の一種で、美容や健康の維持に欠かせない栄養素です。
また、歯周病は、歯周ポケットの中で炎症が繰り返されることにより、歯茎に含まれるタンパク質が減少し、歯茎の高さを徐々に下げてしまう病気です。
そのため、毎日の食事でタンパク質をきちんと摂取し、歯茎を強くすることで、予防しなければいけません。
ちなみに、タンパク質の含有量が多い食品としては、肉類や魚介類、卵類や大豆製品、乳製品などが挙げられます。
具体的には、生ハム、イワシの丸干し、卵黄、きな粉などに多く含まれています。
ビタミンA
ビタミンAは、皮膚や粘膜を健康に保つ効果のあるビタミンで、歯周病予防においては、歯茎などの歯周組織における健康を維持してくれる効果が期待できます。
レチノール、レチナール、レチノイン酸の総称であり、主に動物性食品から摂取できるほか、体内でビタミンAに変換されるプロビタミンAに含まれるβ-カロテンなどのカルテノイドは、ニンジンなどの緑黄色野菜に多く含まれます。
また、ビタミンAは脂溶性であるため、炒め物や揚げ物、ドレッシングなど、油を使った調理がおすすめです。
ビタミンB群
歯や歯茎の構造は骨と同様に、コラーゲン線維がその強さを支えています。
歯周病の原因菌によって歯茎が炎症を起こすと、コラーゲン分解酵素が大量に発生し、歯茎のコラーゲンを溶かします。
また、このような状況で、ホモシステインというアミノ酸が生成されてしまうと、さらにコラーゲン構造が脆弱になりますが、ビタミンB6、B12、葉酸といったビタミンB群は、こちらの生成を抑制する働きがあり、歯周病予防に効果があります。
ちなみに、ビタミンB6は赤身の魚や、油の少ない肉類、ビタミンB12は貝類や海藻、葉酸はホウレンソウやブロッコリーといった野菜にそれぞれ多く含まれています。
ビタミンC
歯周病にかかった歯茎は、いわばコラーゲン線維が破壊された状態です。
ビタミンCには、コラーゲン合成促進効果があり、壊れたコラーゲン線維の再生を促し、歯茎を健康に守ってくれます。
もちろん、症状が出る前から摂取し続けることでも、十分な歯周病対策になります。
また、ビタミンCは、主に野菜や果物、サツマイモ、ジャガイモなどに多く含まれています。
ただし、食品中に含まれているビタミンCは水に溶けやすい性質があるため、茹でると煮汁に溶け出して損失します。
そのため、調理時に水や熱に接する時間を短くしたり、電子レンジ調理を活用したりするなどして、効率的に摂取しなければいけません。
ビタミンD
ビタミンDはカルシウムの吸収を促進し、骨の健康を維持する栄養素です。
そのため、後述するカルシウムとあわせて摂取することで、効果的な歯周病予防になります。
ただし、ビタミンDを多く含む食品は、他の栄養素に比べて限られています。
比較的含有量が多いのは魚類であり、キノコ類や卵、肉類からも摂取できますが、これらの含有量は魚と比べると多くありません。
そのため、ビタミンDを身体に供給するためには、日光に当たることも意識してください。
適度に日光に当たることで、皮膚にあるプロビタミンD3という物質が、体内でビタミンDに変わり、肝臓に蓄えられます。
カルシウム
カルシウムは、身体の機能の維持や調節に欠かせないミネラルの一つで、歯周病予防にも必須の栄養素です。
歯がある状態で、カルシウムが不足している場合、歯よりも歯周組織に悪影響を及ぼしやすいです。
具体的には、カルシウム不足によって歯が急に脆くなることはなく、それよりも歯を支えている顎の骨が溶かされていきます。
また、顎の骨が溶かされていくと、歯を支えられなくなり、歯の周囲の炎症や歯周病につながります。
そのため、日々の食事では、牛乳やチーズ、ヨーグルトなどの乳製品、骨ごと食べられる小魚、豆腐や納豆などの大豆製品、野菜類や海藻などの食品を摂取し、カルシウムを十分に取り込まなければいけません。
まとめ
ここまで、歯周病予防に効果的な栄養素について解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
どれだけ歯磨きや歯科クリニックでの定期検診を重ねていても、食生活が乱れ、栄養が不足すると、歯茎をはじめとする歯周組織への悪影響が出てしまいます。
そのため、前述したような栄養素をバランス良く摂取し、身体の中から歯周病を防ぐことを考えなければいけません。