一度歯周病を発症すると、残念ながら歯茎が自然と元の状態に戻ることはありません。
このことから、歯周病は虫歯と同じく、歯科クリニックで治療しなければいけませんが、このときには当然費用がかかります。
ここからは、歯周病治療の費用相場について、段階ごとに解説したいと思います。
【段階別】歯周病治療の費用相場について
歯周病の段階は、軽度、中度、重度、末期の大きく4段階に分けられます。
また、歯周病治療の費用や内容は、これらの段階によって変わってきます。
具体的に見てみましょう。
軽度歯周病治療の費用相場
軽度の歯周病とは、歯茎が赤く腫れ、触れると出血する程度を指しています。
このような段階の場合、治療にはトータルで4,000~6,000円程度の費用がかかります。
まだ初期段階であるため、金銭的な負担は少ないと言えます。
治療期間については、2ヶ月以下で済むケースが多く、通院も2~3回が目安です。
また、軽度の歯周病の治療内容は主にクリーニングであり、こちらを行うだけでも、ある程度症状を抑えられる可能性があります。
ただし、これ以上進行しないように、自宅でのブラッシングは必須です。
中度歯周病治療の費用相場
中度の歯周病は、冷たいものがしみたり、歯が少しぐらついたり、歯茎から膿が出たりと、ある程度症状が進行している状態です。
自宅でのセルフケアだけでは改善が見込めないため、局所麻酔を使用しながら、歯石を徹底的に除去する治療が必要です。
また、中度歯周病の場合、通院回数の目安は5~8回程度で、治療期間は3ヶ月ほどです。
トータルの治療費については、8,000~12,000円程度が相場です。
重度歯周病治療の費用相場
重度にまで発展した歯周病は、歯周ポケットの深さが6mm以上になり、歯茎が下がって歯が長くなったように見えます。
また、歯と歯の間の隙間が目立ち、出血もひどく、歯が激しく動揺するため、食事にも影響が出てきます。
さらに、破壊された組織から膿が多く出てきて、痛みが出るとともに、口臭もより強くなります。
ちなみに、重度歯周病の治療に必要な費用は、およそ10,000~50,000円と高額になるケースが多いです。
症状によっては、こちらの金額以上になることも考えられます。
末期歯周病治療の費用相場
歯周病が末期になると、歯を支える歯槽骨はほとんどなくなってしまい、前後左右に歯がぐらつきます。
このような状態では、どれほど高度な歯周病外科処置を施しても、歯を残すことは難しいです。
そのため、抜歯を行った後の治療がメインになります。
治療費の相場については、抜歯後にどのような治療を行い、失った歯をカバーするかによって変わってきます。
末期歯周病によって失った歯を補う治療
末期歯周病の方は、歯茎や顎の骨の破壊が進み、残存する歯も20本を下回っているケースが多いです。
そのため、失った歯については、別の治療法で補う必要があります。
また、このときに行われる治療としては、入れ歯やブリッジ、インプラントなどがあります。
これらの治療にかかる費用の相場は以下の通りです。
入れ歯の費用相場
入れ歯の費用相場は、保険診療のものなのか、自由診療のものなのかによって大きく変わってきます。
保険診療の場合、部分入れ歯は3割負担で3,600~7,500円程度、総入れ歯は9,000円程度で作製できます。
また、自由診療の場合、費用相場は約15~80万円です(部分入れ歯、総入れ歯を含む)。
自由診療は、保健診療のように一律の決まりや制限がないため、歯科クリニックによって費用に大きな幅があります。
ブリッジの費用相場
両隣の歯を支持として使い、欠損した歯を補うブリッジは、保険適用内であれば欠損歯1本あたり20,000~30,000円で治療できます。
また、審美性を重視し、セラミック素材を使用したブリッジを装着したいという場合は、自由診療の治療がおすすめですが、こちらは歯1本あたり50,000~150,000円と、費用が一気に跳ね上がります。
インプラントの費用相場
歯を失った部分に人工歯根を埋め込み、その上に人工歯を被せるインプラントは、1本あたり30~40万円の費用がかかります。
こちらの費用には、手術費用、人工歯根、アバットメント、人工歯の費用が含まれています。
また、前歯と奥歯で大きな価格差はありませんが、場合によっては、技術的な難易度や必要な追加処置により、費用が変動することがあります。
さらに、使用するインプラントのブランドや種類、製作する人工歯の素材によっても、費用は変わってきます。
ちなみに、インプラントにおける人工歯の材料には、金属だけでなく、セラミックやジルコニアなどが使用されることもあります。
まとめ
ここまで、歯周病治療の費用相場について詳しく解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
歯周病治療には、基本的に保険が適用されるため、それほど治療費が高くなる心配はありません。
しかし、重度にまで進行すると、一気に費用は高くなりますし、末期にまで達すると、失った歯を埋めるための治療にはかなりの金額がかかるため、そうなる前に、定期的に歯科クリニックで歯茎の状態を確認してもらいましょう。