肉や野菜、果物など、日々の食事には多くの食材が使用されています。
また日本人は和食や洋食、中華料理などさまざまなジャンルの料理を口にしますが、どのジャンルでも存在するのが発酵食品です。
発酵食品は栄養価が高く、摂取することで歯周病対策にもなります。
今回は、発酵食品の歯周病予防効果を中心に解説します。
発酵食品の概要
発酵食品は、微生物の働きにより、食材の持つ元々の性質が人間にとって有益に変化した食品です。
肉類や魚類、野菜類などにも発酵食品は存在します。
また、料理には欠かせない調味料の中にも多く含まれます。
例えば、和食の基本である醤油や味噌、みりんなども発酵食品です。
これらの食品には、腸内環境を調整したり、代謝をアップさせたりする効果があります。
さらに、悪玉コレステロールの除去、ストレスの軽減なども期待できます。
発酵食品の歯周病予防効果
発酵食品で歯周病を予防できる理由としては、以下のような成分が含まれていることが挙げられます。
・乳酸菌
・ビタミンK
・酵素
各項目について詳しく説明します。
乳酸菌
乳酸菌は、糖類の発酵により、乳酸などの酸をつくり出すいくつもの微生物です。
ヨーグルトやチーズ、日本酒や漬物など、さまざまな発酵食品に含まれています。
善玉菌の増殖を支援し、悪玉菌の活動を抑制する乳酸菌は、口内でも同様の活動をしてくれます。
具体的には、プラーク形成の抑制や唾液分泌の促進などが期待でき、歯周病だけでなく虫歯や口臭の予防にもつながります。
また、乳酸菌に含まれるプロバイオティクスという善玉菌は、身体の免疫力を強化してくれます。
そのため、歯周病菌をはじめとする細菌に強い身体が出来上がります。
ビタミンK
ビタミンKは、血液を凝固させる働きを持つ脂溶性(油に溶けやすい)のビタミンで、歯茎からの出血を改善する効果があります。
発酵食品では、主に納豆に多く含まれています。
また、ビタミンKには骨の健康を保つ働きもあります。
具体的には、骨にカルシウムを取り込む際に必要なオステカカルシンというタンパク質を活性化させます。
さらに、骨からカルシウムが排出されるのを抑制する働きもあるため、歯周病によって歯槽骨が弱っている場合などにはピッタリです。
酵素
酵素は、生物の体内における化学反応を引き起こし、反応をスムーズに促進する役割がある物質です。
植物性の発酵食品は、微生物によって大量の酵素が含まれています。
具体的には、先ほども触れた納豆の他、キムチやかつお節などが植物性発酵食品に含まれます。
また、酵素の中でも特に口の健康に関わっているのが、アミラーゼという成分です。
アミラーゼは、口内のでんぷん質を消化し、糖を生成する役割があります。
白米をしっかり噛んだときに甘いのは、アミラーゼの効果です。
アミラーゼには、歯に付着したでんぷん質の残りカスを化学的に分解し、口内を洗浄する効果があります。
そのため、歯周病の原因となるプラークの生成を予防できます。
発酵食品と口臭について
発酵食品の中でも、ヨーグルトには口臭の予防効果があります。
腸内環境の乱れによって便秘になると、腸内に有害物質が溜まります。
こちらが血流に乗って肺に届き、息に混ざることにより、悪臭を放ちます。
ヨーグルトには善玉菌を増やす効果があり、腸内環境を整えることに役立つため、間接的に口臭も防止できます。
一方、納豆は逆に口臭を悪化させる可能性があります。
納豆の独特なニオイの元は、大豆に含まれるタンパク質が分解される際に生まれるアンモニアです。
ただし、納豆のニオイは体内に取り込まれず、口内で完結します。
そのため、慢性的な口臭につながる可能性は極めて低いです。
発酵食品は食べ過ぎに注意
歯周病や虫歯、口臭などさまざまな口内トラブルに効果的な発酵食品ですが、食べ過ぎはNGです。
例えば納豆の原材料である大豆に含まれるタンパク質に対し、アレルギー反応が出る方がいるように、過剰摂取はアレルギー反応を引き起こします。
また発酵食品は腸内環境を整えますが、過剰に摂取すると腸内の善玉菌と悪玉菌のバランスが崩れ、消化不良や下痢につながります。
そのため、あくまでバランスの良い食生活の中に、発酵食品を採り入れることが大切です。
発酵食品の効果を高める食べ方
発酵食品の歯周病予防効果をできるだけ高めるには、発酵食品同士を組み合わせて食べるのがおすすめです。
例えば、納豆とキムチを合わせて食べると、より高い整腸作用が期待できます。
また、ヨーグルトと甘酒もおすすめの組み合わせです。
甘酒は米麹を発酵させてつくっていて、オリゴ糖やビタミンBなどを豊富に含んでいます。
さらに、食物繊維は善玉菌のエサになるため、発酵食品とあわせて摂取するとより効果を高められます。
まとめ
発酵食品は栄養価が高く、さまざまな形で摂取できるため、日々の食事に採り入れやすいです。
また、歯周病をはじめとする口内疾患の予防にもつながるため、今まで特に意識していなかった方は積極的に摂取しましょう。
さらに発酵食品ばかりに偏ることなく、他の食材でもタンパク質やビタミン、鉄分などが摂取できれば申し分ありません。