丁寧に歯を磨いているつもりでも、いつの間にか虫歯になっていることがあります。
毎日欠かさず歯を磨いていても虫歯になるのには、原因があります。
ただし、1つの原因だけでなるわけではありません。
虫歯の原因は複数ありますが、具体的には何が原因になるのでしょうか?
虫歯の原因について、解説します。
虫歯の原因とは?
歯が痛むので歯科医院に行き、診断の結果、虫歯であると判明したというケースは、珍しくありません。
普段からあまり熱心に歯磨きをしていない場合は「やっぱり」と思うだけかもしれませんが、毎日丁寧に歯を磨いている場合には、「あんなに丁寧に歯磨きをしているのに、どうして虫歯になるの?」と納得できないこともあるでしょう。
一体何が原因で虫歯になるのでしょうか?
虫歯になる原因は、主に3つあります。
1つ目が、ミュータンス菌です。
ミュータンス菌は、一般的に虫歯菌、虫歯の原因菌と呼ばれている細菌です。
ミュータンス菌は、口内に存在しています。
しかし、実は生まれた時からいるわけではなく、生後すぐの子どもの口内には存在していないのです。
ミュータンス菌が口内に侵入してくるのは、既にミュータンス菌を保有している人の唾液などによるものです。
親の口内にミュータンス菌がいて、食器などを共有した際に侵入してしまいます。
3歳までの間にミュータンス菌が口内にいなければ、将来にわたって虫歯になりにくくなるといわれています。
生まれた子どもに食事をさせる時は、親とは別の食器を使用するように気を付けましょう。
2つ目の原因は、糖質です。
糖質は、砂糖などに含まれているだけでなく、一般的な食べ物にも含まれています。
最近では糖質抜きダイエットが浸透しつつあるため、ご飯にも含まれていることを知っている人もは多いかもしれません。
糖質は、活動をする上で非常に重要な成分です。
全く取らないと体調不良の原因にもなるので、適切な量を摂取しましょう。
虫歯の原因となるのは、食べた後口の中に残っている糖質です。
食べてすぐに歯磨きをすれば、糖質はかなり少なくなるでしょう。
しかし、磨き方によっては口の中に残ってしまいます。
また、食べた後、歯を磨くまで時間が空いた場合は、糖質が細菌に取り込まれてしまうこともあります。
3つ目は、歯質です。
歯質に関しては、簡単にどうにかできるものではありません。
体質と同じく、生まれ持った歯の特徴のようなものです。
口内にミュータンス菌などの虫歯の原因菌がいて、糖質があると糖質を餌にして増殖します。
糖質からは不溶性グルカンというねばついた物質を産生し、歯の表面について歯垢となります。
歯垢の中には、多くの細菌が潜んでいます。
細菌の中で虫歯の原因菌となるものは、糖質を餌にして乳酸などの様々な酸を生みだしていき、歯を溶かします。
酸によって、歯からカルシウムやリンが溶けだしていく様子を、脱灰といいます。
ただし、脱灰は虫歯とイコールではありません。
脱灰が起こっただけであれば、歯は唾液に含まれるカルシウムやリンを取り込んで、再石灰化するからです。
脱灰と再石灰化は、お互いに争っています。
再石灰化が優勢なら問題はありませんが、脱灰が勝るようになると、歯がどんどん溶けていき、虫歯になってしまうのです。
虫歯になると、歯の表面が溶かされてしまいます。
脱灰とは違い、溶かされたことで空いた穴は自然にふさがることはありません。
溶けたのがエナメル質だけなら問題はありませんが、さらに内側の象牙質、歯髄まで到達すると痛みが生じます。
脱灰と再石灰化の綱引きは、糖質が口に入るたびに行われています。
歯を磨くまで続き、時間が長くなるほど口内が酸性に偏りミュータンス菌が優勢になってしまうため、なるべく早く歯を磨きましょう。
虫歯にならないために
虫歯になると、痛みが生じます。
溶けたり削ったりした歯は元に戻らないため、歯の寿命も短くなってしまうのです。
歯の健康を維持するためには、虫歯にならないようにすることが大切です。
実は、人間の体にはミュータンス菌に対抗する手段があります。
ミュータンス菌への対抗手段は、唾液です。
唾液が食べ物の消化を助けることを知っている人は多いかもしれませんが、実は虫歯にも対抗できるのです。
先述したように、脱灰した歯に唾液がカルシウムやリンを与えることで、元に戻すことができます。
再石灰化によって、エナメル質は硬くなり、穴も開きにくくなるでしょう。
また、ミュータンス菌は酸性の環境を好みますが、唾液は口内の環境を中性に整える働きがあるため、細菌の活発な活動を防ぎます。
ちなみに、歯周病菌はアルカリ性の環境を好みます。
虫歯にならないための方法の一つが、唾液の量を増やすことです。
唾液を増やすには、水分をしっかりとり、食事はよく噛んでから飲み込むということを徹底しなければなりません。
定期的にフッ素を塗ることも対策になります。
フッ素は歯科医院で塗布してもらうこともできますが、フッ素入りの歯磨き粉や洗口液などもあるため、使い方を確認したうえで使用しましょう。
さらに、歯ブラシだけではなく、デンタルフロスや歯間ブラシを使用して、歯ブラシでは落としきれない食べかすや歯垢などもなるべく落としてしまいましょう。
歯ブラシで磨く際は、歯周ポケットの中の汚れを掻き出すことを意識してください。
虫歯にならないようにするためにも、普段からミュータンス菌を防ぐための方法を意識して実践し、フッ素を塗布して再石灰化を促しつつ歯質を強化しましょう。
そのうえで、定期的に歯科医院に通うことをおすすめします。
まとめ
虫歯になる主な原因は、虫歯の原因菌であるミュータンス菌、糖質、歯質の3つです。
この3つが揃って初めて虫歯になります。
歯は、カルシウムやリンが溶けだす脱灰という状態になることがあります。
脱灰は虫歯とは異なりますが、進むほど虫歯に近くになっていくため注意が必要です。
虫歯にならないためにも、唾液の量を増やし、殺菌作用などが十分に発揮できるようにしておきましょう。