適度な飲酒には、ストレスの緩和やリラックス効果などのメリットがあります。
また、お酒を飲むと胃液の分泌が盛んになり、消化を助けるため、食欲の増進にもつながります。
しかし、実は飲酒は歯周病のリスクを高めると言われています。
今回は、こちらの詳細について解説したいと思います。
飲酒が歯周病のリスクを高める理由5選
多くの方が普段何気なく飲んでいるお酒ですが、こちらは以下の理由により、歯周病につながりやすくなるとされています。
・虫歯のリスク上昇
・血流の良化
・唾液量の減少
・不十分なブラッシング
・飲食時間の増加
虫歯のリスク上昇
お酒はpH値の低い飲み物です。
pH値とは、水素イオン濃度と呼ばれるもので、その液体の酸性や中性、アルカリ性といった状態をわかりやすく数値で表したものをいいます。
数値は1~14までの範囲で表されていて、中間のpH7.0が中性で、それより数値の低いものが酸性、高いものがアルカリ性という扱いになります。
また、お酒のほとんどは、pH7.0を下回る酸性であり、特にワインやチューハイ、梅酒といった種類は極めて酸が強いです。
そのため、毎日のように飲酒をしていると、歯が溶かされて虫歯になりやすくなります。
そして、虫歯で穴が開いてしまうと、そこにプラークが溜まりやすくなり、歯周病のリスクも高まります。
血流の良化
飲酒によって血流が良くなると、冷え性の改善などが期待できます。
しかし、すでに歯周病の症状が見られる方は、血流が良くなることにより、神経を刺激し、強い痛みが出ることが考えられます。
また、こちらの炎症は、歯科クリニックで治療を受けなければなかなか治りません。
もし、そのまま放置してしまったら、症状が悪化し、歯を失ってしまうことも考えられます。
唾液量の減少
お酒を飲んだ後は、身体がアルコールを排出するために、尿や汗を多く出そうとする利尿効果が働きます。
そのため、普段からよく飲酒をする方は、起きている状態であっても、体内の水分が不足しているケースが多く、唾液量が減少します。
また、唾液量が減少すると、口内を洗い流す作用が弱まり、歯周病菌がとどまりやすくなります。
不十分なブラッシング
お酒を飲んで帰宅したとき、ブラッシングや入浴が面倒になるという方は多いかと思います。
このとき、「朝起きてから磨けば良いだろう」という感覚でそのまま眠ってしまうと、歯周病菌の活動が活発になってしまいます。
また、ブラッシングをしたとしても、お酒に酔っている状態では磨き残しが出やすく、このとき残ったプラークが歯周病のリスクを高めます。
飲食時間の増加
通常の食事は、大体20~30分前後、長くても1時間前後で終わるケースが多いです。
一方、お酒の席となると、一つのお店で2時間程度滞在することも珍しくありませんし、その後も何軒かはしごをすることもあるでしょう。
もちろん、このように飲食の時間が長くなると、その間口内は不潔な状態が続き、歯周病菌の動きも活発になります。
歯周病とアルコール分解能力の関係について
お酒を飲むと、顔が赤くなって頻脈と動悸が起こり、ときには頭痛や発汗、めまい、眠気などが起こります。
こちらは、アルコールが分解されてできるアセトアルデヒドの毒性によるものです。
また、アセトアルデヒドの分解能力が低ければ低いほど、このような症状は出やすくなり、こちらの能力は分解を助ける酵素の活性の高低により決定します。
大きくタイプ別に分けると、お酒に強い活性型、すぐに顔が赤くなる不活性型、一切アルコールを受け付けない失活型があり、活性型の方は、毎日飲酒をしても歯周病へのリスクにほとんど差がありません。
一方、不活性型の方は、33ml以上のアルコールを毎日飲むと、飲まない方よりも4.28倍も歯周病のリスクが高まるとされています。
歯周病とアルコール依存症の関係について
アルコール依存症とは、お酒を飲む量やタイミング、状況などを自身でコントロールできなくなった状態のことをいいます。
飲むのは良くないことだとわかっていても、脳に異常が起きて飲むことをやめられなくなります。
また、アルコール依存症の方は、体内のアルコール濃度が下がってくると、さまざまな自律神経症状や情緒障害、手の震え、幻覚などの症状が見られるようになります。
こちらを離脱症状といいます。
その他、アルコール依存症は口内環境にも悪影響を及ぼします。
具体的には、歯周病が重症化しやすくなったり、虫歯が多発したりするほか、ドライマウスや口臭の悪化などを引き起こします。
重度の場合は、咀嚼機能の減退や歯の喪失にもつながります。
まとめ
ここまで、飲酒が歯周病のリスクを高める原因を中心に解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
“酒は百薬の長”という言葉があるように、適度な飲酒であれば、日常生活にメリットをもたらしてくれることもあります。
しかし、歯周病予防の観点でいうと、飲酒は決して良いものではないため、飲酒の習慣がある方は、飲み方やケアの方法などを間違えないように注意してください。