子どもの矯正治療では、後戻りという現象が起こることがあります。
こちらは、一度キレイに揃った歯並びが元に戻ってしまうことを指しています。
また、歯並びが元に戻ると、当然これまで行ってきた矯正治療が無駄になります。
今回は、子どもの矯正治療で後戻りが起こる原因について解説します。
子どもの矯正治療で後戻りが起こる原因6選
以下の原因により、子どもの矯正治療では歯並びが元に戻ることがあります。
・成長で歯並びや顎の位置が変化した
・リテーナーを使用していない
・親知らずが生えてきた
・悪癖がある
・定期検診に通っていない
・治療計画に不備があった
各項目について詳しく説明します。
成長で歯並びや顎の位置が変化した
子どもの矯正治療で後戻りが起こる原因としては、まず成長で歯並びや顎の位置が変化したことが挙げられます。
子どもの矯正治療では、成長を利用します。
こちらは、大人の矯正治療にはない大きな特徴です。
また、矯正治療終了後も、子どもの歯並びや顎の変化は継続します。
特に、歯や顎の位置は成長に伴って変わることが多く、後戻りの原因になりやすいです。
つまり、一度キレイに歯並びが整っても、成長の過程で歯並びが乱れる可能性があるということです。
そのため、長期的にフォローアップする必要があります。
リテーナーを使用していない
子どもの矯正治療では、リテーナーを使用していないことでも後戻りが発生します。
矯正治療は、歯を理想の位置まで動かして完了するわけではありません。
矯正が終わった直後は、歯が元に戻ろうとする力が働くため、固定式もしくは取り外し式のリテーナー(保定装置)を約2年間装着する必要があります。
こちらを保定期間といい、しっかりと所定の期間リテーナーを装着することで、キレイな歯並びを維持することができます。
しかし、矯正治療直後にリテーナーを付け忘れたり、面倒になって使わなかったりすると、歯が動いてしまって後戻りが起こります。
また保定期間が短い場合も、まだ歯が骨の中にしっかりと埋まっていないため、後戻りのリスクが高まります。
親知らずが生えてきた
子どもの矯正治療後には、親知らずが生えてくることもありますが、こちらも後戻りの原因の一つです。
親知らずは智歯や第三大臼歯とも呼ばれるもので、奥歯の中でももっとも後ろに位置しています。
15歳頃に生えてくるのが一般的で、まっすぐ生えれば特に問題はありません。
しかし、日本人の顎は食生活の変化などで小さくなっているため、親知らずが横向きに生えるなどのトラブルはよく起こります。
親知らずが横向きに生えると、歯列を後ろから押す形になるため、せっかくキレイにした歯列が乱れてしまいます。
悪癖がある
子どもの悪癖により、矯正治療によってキレイにした歯並びが元通りになるケースもあります。
悪癖とは、舌で前歯を押す癖や頬杖、口呼吸などのことを指しています。
これらの癖が長期的に続くと、歯に継続的に力がかかり、後戻りを引き起こしてしまいます。
また歯ぎしりや食いしばり、うつ伏せ寝なども顎に負担をかける習慣であり、ひどい場合は顎関節症にもつながります。
そのため、悪癖がある場合は、矯正治療を始める前もしくは治療中に改善するのが理想です。
ちなみに、子どもの悪癖は無意識に行っているケースが多いです。
実際悪癖があるかどうかを判断するには、親御さんが日頃から子どもの行動をチェックしておかなければいけません。
定期検診に通っていない
矯正治療後の定期検診に通っていないことも、後戻りが起こる原因の一つです。
子どもの矯正治療が終わった後は、歯科クリニックで定期検診を受けなければいけません。
定期検診では、主に後戻りを起こしていないか、噛み合わせに問題がないかなどを確認しています。
特に矯正治療直後の子どもの歯並びは、後戻りを起こしやすいため、定期検診は必須です。
もし、一切通わずに過ごしていたら、いつの間にか大幅に後戻りしている可能性もあります。
また先ほど悪癖の項目において、子どもの悪癖については、親御さんがしっかり確認しなければいけないという話をしました。
しかし、実際親御さんが判断できる範囲には限界があります。
そのため、やはりプロによる定期的なチェックは欠かせません。
治療計画に不備があった
治療計画に不備があった場合も、子どもの矯正治療では後戻りが起こる可能性があります。
矯正治療の計画は、経験豊かな歯科医師が立てるため、内容には問題がないことがほとんどです。
しかし、歯科医師も人間であるため、100%ミスをしないとは限りません。
ただし治療計画に不備があったとしても、矯正後の定期検診で発見され、その後修正することは可能です。
まとめ
子どもの矯正治療における後戻りは、子ども本人にとっても、親御さんにとっても良くないことです。
子どもはせっかく治療を頑張った苦労が水の泡になりますし、親御さんは矯正治療の費用負担が大きくなります。
そのため、どうすれば後戻りが起こりにくいのかを前もって把握しておき、確実に矯正治療を進めていく必要があります。