矯正治療は、一定期間継続して装置を装着し、噛み合わせを良くすることが目的の治療です。
また噛み合わせが良くなることで、食事や発音がしやすくなるだけでなく、全身の健康維持にもつながります。
では、治療を途中でやめるとどうなるのでしょうか?
今回は、矯正治療を途中でやめてしまう理由とデメリットを解説します。
矯正治療を途中でやめてしまう理由
矯正治療を途中でやめてしまう理由としてよくあるのが、以下のようなパターンです。
・遠方への引っ越し
・ライフスタイルの変化
・違和感や痛みによるストレス
・経済的な問題
各項目について詳しく説明します。
遠方への引っ越し
遠方への引っ越しをきっかけに、矯正治療を途中でやめてしまうというケースは多いです。
こちらは、引っ越すことで同じ歯科クリニックに通うのが難しくなるのが理由です。
すでに歯の移動が完了していて、後は保定装置をつけるだけという場合では、それほど歯科クリニックに頻繁に通う必要はありません。
そのため、引っ越した後もなんとか通院できる可能性があります。
しかしまだ歯を動かしている途中の場合、通院するのは困難であり、一度中断して他の歯科クリニックに転院しなければいけません。
ライフスタイルの変化
ライフスタイルが変化したことにより、矯正治療を途中でやめてしまうパターンもよく見られます。
例えば矯正治療を始めた後、結婚や出産により、子ども優先のライフスタイルになり、なかなか通院できなくなるケースなどが挙げられます。
また転職によって日々のサイクルが変わることで、通院の時間を確保できないことも考えられます。
違和感や痛みによるストレス
矯正治療は安全性が確保されていますが、矯正装置を付け始めたときや歯が移動するときには、違和感や痛みが生じる可能性があります。
また想像よりも違和感や痛みが大きかったという方は、精神的なストレスから矯正治療を中断してしまうことがあります。
また矯正治療中は、矯正装置を毎日決められた時間装着しなければいけなかったり、毎日メンテナンスしなければいけなかったりします。
こちらを面倒に感じたり、ストレスに感じたりした方も、途中で矯正治療をやめてしまうことがあります。
経済的な問題
矯正治療は、経済的な問題で断念するという方もいます。
こちらは、矯正治療が比較的高額な歯科治療であるからです。
矯正治療は、原則保険が適用されない自由診療です。
そのため、患者さんが治療費の10割を負担しなければいけません。
また多くの歯科クリニックでは、治療費を分割払いできるようになっています。
しかし、患者さんの中には頭金を払って治療を始めたものの、途中でお金が足りなくなって支払いができなくなる方もいます。
矯正治療を途中でやめることのデメリット
矯正治療を途中でやめると、歯の位置が中途半端に修正されてしまいます。
これでは歯並びや噛み合わせを十分に改善できません。
むしろ途中で歯を移動させるのを中断することにより、余計に見た目や咀嚼・発音などの機能が悪化するおそれがあります。
また矯正治療を途中でやめると、これまで移動させた歯が少しずつ元に戻っていきます。
つまり、これまで我慢して続けてきた治療の効果が、すべて水の泡になってしまうということです。
仮に中断後に矯正治療を再開したとしても、治療はまた最初からになるケースがほとんどです。
さらに矯正治療を途中でやめることは、治療費が無駄になることにもつながります。
前述の通り、矯正治療は自由診療であり、患者さんは高額な治療費を負担しなければいけません。
最後まで治療を行わずに終わってしまうと、ただ単にお金を支払っただけになってしまいます。
もちろん、患者さんの都合で治療をやめることになった場合、これまで支払った治療費が返金されるということも基本的にはありません。
矯正治療を途中でやめないための対処法
矯正治療を途中でやめないようにするには、まず始めるタイミングをしっかり考えることが大切です。
例えば近いうちに転勤や結婚、出産などの予定がある方は、途中で治療を断念しなければいけない可能性があります。
そのため、それらのイベントが落ち着いたタイミングで矯正治療を開始すべきです。
またきちんと評判などを事前にチェックし、優秀な歯科クリニックを選ぶことも大切です。
なんとなく歯科クリニックを選んでしまうと、相性の良くない歯科医師にあたったり、あまり技術のない歯科クリニックにあたったりする可能性があります。
こちらは矯正治療のモチベーションが上がらないことや、治療時の痛みが出やすいことなどにつながるため、注意が必要です。
まとめ
矯正治療は、患者さんの意思次第でいつでもやめることができます。
しかし、理想的な歯並びや嚙み合わせを手に入れるためには、基本的に一度も中断してはいけません。
当初のスケジュール通り、歯科医師の指示通りに治療を進めていき、保定を行うことで、初めて矯正治療は成立します。
そのため、一度始めたら最後までやり切る覚悟を持ちましょう。