インプラント治療を受けた後は、人工歯根や歯茎などの状態を確認するため、定期的に歯科クリニックに通う必要があります。
しかし、患者さんの中には面倒になり、ついつい通院をサボってしまう方も少なくありません。
では、インプラントのメンテナンスを怠った場合、果たしてどうなってしまうのでしょうか?
インプラントのメンテナンスを怠った場合のデメリット
歯科クリニックでのメンテナンスについては、初年度は3ヶ月に1回ほど行います。
2年目以降は、年に2~3回を目途に通院しますが、こちらのペースを守らないと以下のようなデメリットが生まれます。
・人工歯根が不安定になる
・インプラント周囲炎のリスクが高まる
・保証を受けられなくなる
・故障や破損に気付けない
・インプラント以外の歯を失う
各デメリットについて詳しく説明します。
人工歯根が不安定になる
メンテナンスをおろそかにしていると、人工歯根が不安定になってしまう可能性があります。
こちらは骨吸収が進行することが理由です。
人工歯根は、顎の骨にしっかり埋入されることで安定を保っています。
しかしメンテナンスを怠っている場合、人工歯根と顎の骨の結合が弱まり、骨吸収が進んでしまうことがあります。
また骨吸収が進むと、人工歯根はグラグラと不安定な状態になり、最終的には脱落してしまうことも考えられます。
インプラント周囲炎のリスクが高まる
インプラント治療後、歯科クリニックに通わずにいるとインプラント周囲炎のリスクも高まります。
インプラント周囲炎は、簡単にいうとインプラントの周囲で発生する歯周病のような症状です。
インプラントの周りに軽い炎症や赤み、腫れが見られることがありますが、痛みを感じることはほとんどありません。
そのため、患者さんが自覚できる可能性は低いです。
また一般的な歯周病と同様、発症に気付きにくいことから、いつの間にか重度にまで進行しているケースもよく見られます。
患者さんはきちんと定期的に歯科クリニックに通い、インプラント周囲炎の兆候があればすぐ見つけられるようにしておきましょう。
保証を受けられなくなる
治療後のメンテナンスに通わなかった場合、インプラントのメーカー保証を受けられなくなります。
メーカー保証は、万が一インプラントに不具合が発生した場合、代替品と交換するための制度です。
患者さんの故意による破損でなければ、基本的に再治療費が免除されます。
またメーカー保証の期間については、5~10年で設定されることが多いですが、こちらの対象になるにはメンテナンスを受けなければいけません。
つまり破損や脱落などを予防するために、最善を尽くした場合のみ、保証の対象になるということです。
そのため、多額の再治療費を支払わないようにするためにも、メンテナンスはきちんと受けておかなければいけません。
故障や破損に気付けない
メンテナンスに通わずにいると、インプラントが故障していたり、破損していたりしても気付けない可能性があります。
インプラントは天然歯に近い見た目と機能性を持っていますが、あくまで人工物です。
そのため、破損したり故障したりすることはあります。
具体的には、上部構造と人工歯根を連結するアバットメントが緩んでしまうケースがあります。
さらに、人工歯の破損によって噛み合わせに異常が出ることも考えられます。
多少違和感を覚えていても、患者さんが自身でチェックするだけでは、これらの問題を見逃してしまう可能性があります。
インプラント以外の歯を失う
インプラントのメンテナンスをサボってしまうと、インプラント以外の歯を失うことにもつながりかねません。
なぜなら、インプラント治療後のメンテナンスでは、治療箇所だけでなく口内全体のチェックも行われるからです。
そのため、もし虫歯や歯周病が発症しているにもかかわらず、メンテナンスに通わなかったら、少しずつ天然歯は蝕まれていきます。
もちろん治療が遅れてしまうと、その歯を再びインプラントにしなければいけないことも考えられます。
インプラント治療後はセルフケアも忘れずに
治療後は歯科クリニックでメンテナンスを受けるのも大切ですが、患者さんが自宅で行うセルフケアも忘れてはいけません。
セルフケアは、歯ブラシだけでなく歯間ブラシやデンタルフロス、タフトブラシも使用して行うのが大切です。
歯ブラシはやわらかめのものを選び、インプラントと隣の歯の間に隙間がある場合は、歯間ブラシを活用しましょう。
また隙間がなく歯間ブラシが入らない場合は、代わりにデンタルフロスを使用します。
タフトブラシについては、毛束が1束しかなくサイズも小さいため、インプラント周辺の仕上げ磨きに向いています。
まとめ
これまで長い間歯を失った状態であった方は、インプラント治療を受けた時点で満足することもあるでしょう。
もちろん、インプラントが完成すれば天然歯と同じように使用できるのですが、治療後もメンテナンスは継続しなければいけません。
面倒だからといってサボっていると、寿命が縮まったり、無駄な費用がかかったりします。