歯科治療の中には、保険が適用される保険診療、保険が適用されない自由診療のいずれかを選択できるものがあります。
入れ歯治療もその一つであり、患者さん自身がどちらの入れ歯を作製するのか選ぶことができます。
今回は、保険診療・自由診療の入れ歯におけるメリット・デメリットを解説します。
保険診療の入れ歯のメリット
保険診療の入れ歯には、主に以下のようなメリットがあります。
・コストが低い
・作製期間が短い
・修理が容易
各メリットについて詳しく説明します。
コストが低い
保険診療の入れ歯は保険が適用されるため、自由診療の入れ歯よりも安価で作製できます。
具体的には部分入れ歯で5,000～10,000円、総入れ歯でも10,000～15,000円ほどで作製できるため、金銭的な余裕が少ない方にとってはメリットです。
作製期間が短い
保険診療の入れ歯は、作製開始から完成までの期間も短いです。
そのため、なるべく早く失った歯をカバーしたいという方に向いています。
歯を失っている部分が多ければ多いほど、早く対処しなければ歯並びに影響が出やすいですが、保険診療の入れ歯であればそこまで焦る必要はありません。
修理が容易
修理がしやすいというのも、保険診療の入れ歯のメリットです。
保険診療の入れ歯の多くは、歯科用プラスチックであるレジンでつくられたレジン床義歯です。
レジンはある程度の柔軟性を持っているため、トラブルが発生しても迅速に修理できます。
保険診療の入れ歯のデメリット
一方、保険診療の入れ歯には以下のようなデメリットもあります。
・審美性が低い
・口内のトラブルが起こりやすい
・食事の温度を感じにくい
各デメリットについて詳しく説明します。
審美性が低い
保険診療の入れ歯は、留め具の部分に金属を使用しています。
そのため、口を開けたときに金属部分が目立つ可能性があり、お世辞にも審美性が高いとは言えません。
口内のトラブルが起こりやすい
口内のトラブルが起こりやすいという点も、保険診療の入れ歯におけるデメリットです。
保険診療の入れ歯で使用されるレジンは、そこまで耐久性が高くありません。
そのため、衝撃を受けると入れ歯が合わなくなるなどのトラブルが起こりやすくなります。
また保険診療の入れ歯は留め具に食べカスが挟まりやすく、自由診療の入れ歯と比べて虫歯や歯周病のリスクも高いです。
食事の温度を感じにくい
保険診療の入れ歯は、食事の際に温度を感じにくくなります。
特に総入れ歯の場合、上顎の部分が分厚い義歯床で覆われるため、温度を感じられず食事の美味しさが半減する可能性があります。
自由診療の入れ歯のメリット
保険が適用されない自由診療の入れ歯には、主に以下のようなメリットがあります。
・見た目が美しい
・使用感が良い
・残っている歯に負担をかけにくい
各メリットについて詳しく説明します。
見た目が美しい
自由診療の入れ歯は、留め具を目立たないようにしたりなるべく薄く作製したりすることで、美しい見た目に仕上げられます。
そのため、入れ歯をしていることが周りにばれたくない方などにとってはメリットがあります。
使用感が良い
自由診療の入れ歯は薄く作製できるだけでなく、強度を維持することも可能です。
このことから食事や会話のときの違和感が少なく、使用感も良いです。
残っている歯に負担をかけにくい
自由診療の部分入れ歯には、残っている歯に負担をかけにくいというメリットもあります。
部分入れ歯を装着する場合、隣り合う残存歯に金具を引っかけますが、保険診療の場合はこのときの残存歯の負担が大きくなりやすいです。
一方自由診療の部分入れ歯は、高い強度によってしなりを防止し、残存歯にかかる力を分散できます。
自由診療の入れ歯のデメリット
自由診療の入れ歯におけるデメリットは以下の通りです。
・コストが高い
・作製期間が長い
各デメリットについて詳しく説明します。
コストが高い
自由診療の入れ歯における最大のデメリットは、やはり保険診療に比べてコストが高いことです。
こちらは作製の手間がかかることや、高品質の素材を使用することなどが理由です。
保険診療の場合、患者さんの費用負担は治療費全体の1～3割ですが、自由診療の場合は10割負担です。
そのため、数十万円の治療費がかかるケースもあります。
作製期間が長い
自由診療はこだわりを持って作製されることから、完成までにある程度の期間が必要です。
そのため、すぐにでも失った歯を補いたい方は向いていません。
また作製時だけでなく、ある程度使用した後の修理や調整についても、保険診療と比べると難易度は高く時間を要します。
まとめ
保険診療の入れ歯は安くスピーディーに作製できる反面、見た目や機能性などについてはそれほど高くありません。
一方自由診療の入れ歯は、審美性や快適性に優れていますが、作製時の費用や作製期間の長さに難があります。
入れ歯を作製する際は、あらかじめこれらのメリット・デメリットをすべて把握した上で選択することが望ましいです。
