入れ歯は患者さん一人ひとりの口に合わせて作製されますが、いつまでも使用感が変わらないというわけではありません。
どれだけ丁寧に扱っていても、時間が経つとどうしても劣化が見られます。
またメンテナンスの方法を誤っていると、入れ歯の劣化が早まります。
今回は、入れ歯の正しいメンテナンス方法について解説します。
入れ歯の正しいメンテナンス方法5選
入れ歯を作製した後は、以下のポイントを押さえたメンテナンスを行い、なるべく正常な状態をキープしなければいけません。
・やわらかいブラシでブラッシングする
・こまめに水やぬるま湯に浸ける
・食事の度に洗浄する
・入れ歯洗浄剤で洗浄する
・定期的に調整する
各項目について詳しく説明します。
やわらかいブラシでブラッシングする
入れ歯のブラッシングを行う際は、なるべくやわらかいブラシを使用しなければいけません。
特におすすめなのは、入れ歯専用のブラシです。
通常の歯ブラシでブラッシングしても問題はありませんが、入れ歯専用のブラシの方がより効率的に汚れを落とすことができます。
また通常の歯ブラシでも、毛先が硬めのものは使用してはいけません。
硬い歯ブラシで磨くと入れ歯の表面にキズがつき、吸着性が悪くなったり、キズの部分に汚れが溜まりやすくなったりする可能性があります。
こまめに水やぬるま湯に浸ける
こまめに水やぬるま湯に浸けることも、入れ歯のメンテナンスにおいては大事なことです。
こちらは、入れ歯の乾燥を防止するために行われます。
入れ歯が乾燥すると、材質が劣化しやすくなります。
特にアクリル樹脂でできている部分については、乾燥するとひび割れや変形のリスクが高まります。
このような状態になると、しっかりフィットしなかったり痛みを感じやすくなったりするため、こまめに水やぬるま湯に浸ける習慣を付けましょう。
食事の度に洗浄する
入れ歯のメンテナンスは、食事をする度に行うのが理想的です。
食後は入れ歯に食べカスやプラークが付着するため、早めに除去しなければ口臭の原因になります。
また入れ歯と歯茎の間に食べカスが挟まっていると、痛みを感じやすくなります。
ちなみに、プラークが固まると歯石が形成されますが、歯石は歯だけでなく入れ歯にも付着します。
入れ歯の歯石は乳白色の石のようなもので、歯の表面に付着するものと同様に、自宅でのブラッシングで除去するのは困難です。
取り除くには、歯科クリニックで専用の機器を使用する必要があります。
入れ歯洗浄剤で洗浄する
入れ歯のメンテナンスでは、ブラッシングだけでなく入れ歯洗浄剤を使用した洗浄も重要です。
入れ歯に付着した汚れは、ブラッシングである程度落とすことができますが、完璧に近い状態まで除去するのは難しいです。
一方、入れ歯洗浄剤を使用し一晩浸けておくことで、ほとんどの汚れは落とせます。
また使用する製品によっては、歯石などの頑固な汚れを落としたり、義歯臭のほとんどを除去したりすることができます。
定期的に調整する
入れ歯のメンテナンスは患者さん自身で行うものですが、定期的に歯科クリニックに通い、入れ歯の調整を行うことも大切です。
入れ歯のサイズや部位などによって調整頻度は異なるものの、1ヶ月に1回程度は歯科クリニックのメンテナンスを受けましょう。
定期的に通院することで、快適な入れ歯の使用や残存歯を守ることにつながります。
入れ歯のメンテナンスでやってはいけないこと
入れ歯のメンテナンスをするにあたって、以下のことは絶対に行わないようにしましょう。
・熱湯で洗浄する
・歯磨き粉でブラッシングをする
・漂白剤に浸ける
入れ歯のブラッシングや浸け置き洗いをする際は、熱湯を使用してはいけません。
煮沸消毒は殺菌効果が科学的に認められていますが、入れ歯が変形してしまうおそれがあります。
また部分入れ歯の方は、自身の歯をブラッシングするついでに、歯磨き粉を使用して入れ歯を磨こうとする方もいるかと思います。
こちらも、入れ歯の劣化を早めるためNGです。
一般的な歯磨き粉には、研磨剤が含まれています。
そのため、入れ歯をブラッシングする際に使用すると、削れてしまい適合性が悪化することが考えられます。
同じような理由で、硬いスポンジやメラミンスポンジ、やすりなどを使用して入れ歯を磨くのもNGです。
ちなみに、入れ歯をキレイにしようと漂白剤に浸ける方も中にはいますが、こちらも絶対にやってはいけないことです。
特に金属のバネを使用した入れ歯は金属部分が腐食し、入れ歯が入らなくなってしまったり、著しく不衛生になったりする可能性があります。
まとめ
入れ歯の正しいメンテナンス方法を知っていれば、長期間使用することができますし、つくり直しの手間や費用も削減できます。
また何より、毎日入れ歯を使用するにあたって、快適な使用感を実現しやすくなります。
もし現時点で入れ歯の違和感や不具合があるのであれば、そのまま放置した状態で使用せず、早急に歯科クリニックに相談することをおすすめします。
