歯科クリニックで作製する入れ歯は、患者さん一人ひとりの歯に合った精度の高いものです。
そのため、快適な食生活を実現できる可能性が高いです。
しかし、天然歯と比べるとどうしても機能性は劣るため、食事の際はいくつかポイントを押さえておく必要があります。
今回は、食事の主なコツをいくつか解説します。
入れ歯での食事におけるコツ7選
入れ歯を装着した状態で食事を摂る場合、主に以下のポイントを押さえるべきです。
・最初はやわらかいものから食べ始める
・調理方法を工夫する
・食前にうがいをする
・正しい咀嚼を意識する
・一度にたくさん口に入れない
・入れ歯安定剤を使用する
・適宜調整を行う
各項目について詳しく説明します。
最初はやわらかいものから食べ始める
入れ歯を装着してすぐの時期は、まずやわらかいものから食べ始めるのがポイントです。
具体的には、スープやピューレなど、液体に近いものから試すと良いでしょう。
ステーキや硬いパン、ナッツなどについては、問題かく咀嚼ができるようになるまで避けてください。
また、その後はゆっくり時間をかけて入れ歯に慣れていき、食事の際は自身のペースで新しい食べ物に挑戦していきましょう。
調理方法を工夫する
入れ歯を装着した状態での食事では、調理方法を工夫することも大切です。
例えば少し硬めの食材であれば、小さめにカットすることで食べやすくなりますし、隠し包丁など噛み切りやすく調理することも有効です。
また硬い肉や野菜などに関しては、やわらかくなるまでなるべく煮込むという方法もおすすめです。
このとき、肉の筋についてはしっかりと取り除くのがポイントです。
ただし、野菜のみじん切りなど、あまりも細かくするのは逆効果です。
入れ歯の下に食材が挟まってしまったり、飲み込みづらくなってしまったりするリスクがあります。
食前にうがいをする
食前にうがいをすることも、入れ歯で食事を摂る際のポイントです。
こちらは入れ歯の吸着性をアップさせることにつながります。
上下すべての歯を失ってしまった方は、総入れ歯を装着します。
また総入れ歯は入れ歯と歯茎が吸盤のように吸着して安定しますが、口内が乾燥していると吸着性が落ち、入れ歯が安定しません。
そのため口内が乾いている場合は、入れ歯を装着する前にうがいを行い、口内を湿らせてから入れ歯を装着しましょう。
正しい咀嚼を意識する
入れ歯を装着した状態の食事では、天然歯で噛むときよりも一層正しい咀嚼を意識するべきです。
入れ歯で食事を摂る際の基本的な咀嚼方法は、前歯で噛み切り、奥歯でつぶすというものです。
一般的に入れ歯は奥歯から装着し始める方が多いため、中には前歯で噛み切り、咀嚼もすべて前歯で行っているという方もいるかと思います。
しかし、こちらはあまりおすすめできません。
前歯だけで咀嚼を完了させてしまうと、入れ歯の奥歯部分が浮き上がってぐらついたり、外れたりするおそれがあります。
また入れ歯を装着してものを噛むときには、なるべく左右両側で同時に噛むことも大切です。
こうすることで、入れ歯の片方だけが浮いてしまい、安定して噛めなくなるという状況を回避できます。
一度にたくさん口に入れない
一度にたくさん口に入れないことも、入れ歯での食事では大事になってきます。
なぜなら、入れ歯による咬合力が大幅に低下するからです。
入れ歯の噛む力は、ただでさえ天然歯の約3割程度だと言われています。
そのため、多くのものを口に入れると、噛めなかったり飲み込めなかったりします。
また入れ歯に慣れるまでの間は、食べ物の熱さを感じにくくなります。
一度に熱いものを多く口に入れると、いつの間にか火傷してしまうことも考えられるため、注意してください。
入れ歯安定剤を使用する
入れ歯での食事における安定性を高めるためには、入れ歯安定剤を使用するのもおすすめです。
安定剤を使用すれば、入れ歯と歯茎の密着度が向上し、食べ物が挟まることや入れ歯がずれることなどを防止できます。
特に硬めの食べ物を食べる際は、安定剤の力を借りることで食事の楽しさを取り戻せるでしょう。
最近の安定剤は、口内の違和感を最小限に抑えつつも、薄く均一に広がるという特性を持っています。
適宜調整を行う
入れ歯での食事を楽しみたいのであれば、適宜調整を行うのも大切です。
歯科クリニックの入れ歯はオーダーメイドですが、時間が経過すると少しずつフィット感が弱くなっていきます。
もし入れ歯での食事に不便さや痛みを感じたのであれば、早めに歯科クリニックに相談しましょう。
入れ歯は一度作製したら終わりではなく、変化に合わせて定期的な調整や修理が必要です。
まとめ
入れ歯を作製する方の中には、単純に失った歯をカバーしたいだけでなく、食事を楽しみたいという思いがある方も多いでしょう。
もちろん歯を失った状態よりは入れ歯がある方が食事はしやすいですが、注意点やコツを押さえておかなければ、満足感が薄れる可能性があります。
また、作製後も入れ歯のメンテナンスを欠かしてはいけません。