小児歯科治療を受けさせるにあたり、親御さんは「我慢して治療を受けられるのか」という不安を感じることでしょう。
また子どもの負担を和らげるために欠かせないのが麻酔ですが、こちらの一種に笑気麻酔というものがあります。
今回は、小児歯科治療で用いる笑気麻酔の概要やメリット、注意点などについて解説します。
笑気麻酔の概要
笑気麻酔は、亜酸化窒素という物質からなる笑気ガスを吸い込むことにより、緊張や恐怖心が和らぐというものです。
その名の通り、気分が良く思わず笑ってしまうのが特徴です。
また全身麻酔と異なる点は、意識を保っているかどうかです。
全身麻酔は完全に意識がなくなりますが、笑気麻酔はうっすら意識を保ったまま、リラックスした状態になります。
さらにリラックス効果のある麻酔には静脈内鎮静法がありますが、こちらは点滴によって注入されます。
一方笑気麻酔は鼻から吸入するため、歯科治療が苦手な子どもには特におすすめです。
笑気麻酔のメリット
小児歯科治療で用いられる笑気麻酔には、主に以下のようなメリットがあります。
・リラックス効果がある
・即効性が高い
・安全性が高い
・子どもを押さえつける必要がない
・半分眠っている状態になる
各メリットについて詳しく説明します。
リラックス効果がある
歯科クリニックが苦手な子どもは、どうしても治療をするとなると緊張やストレスが強くなります。
それを笑気麻酔でやわらげることにより、治療がスムーズに進みます。
また小児歯科治療がしやすくなることは、子ども本人だけでなく、付き添う親御さんや治療を行う歯科医師・歯科衛生士にとってもメリットです。
即効性が高い
笑気麻酔には、即効性が高いというメリットもあります。
身体的・精神的負担が少ないだけでなく、麻酔が速やかに効果を発揮する笑気麻酔は、効率的な治療を実現してくれます。
また治療後に麻酔の効果が抜けるのも速いため、子どもはいつまでも違和感を覚えることがありません。
治療後の体調に問題がなければ、すぐにいつも通りの日常生活に戻れます。
安全性が高い
安全性の高さも、小児歯科治療で用いる笑気麻酔のメリットです。
ガスを使用した麻酔と聞くと、多くの親御さんは安全性について不安を覚えるかと思います。
しかし、実際笑気麻酔は身体の中ではほとんど分解されません。
多くの薬は肝臓で分解されますが、笑気麻酔は分解をしなくても身体から抜けていくため、子どもに使用しても安全が保障されています。
子どもを押さえつける必要がない
施術の詳しい流れについては後述しますが、笑気麻酔を使用すれば、歯科治療の際に子どもを無理やり押さえつける必要がありません。
マスクを鼻に乗せ、鼻で笑気ガスを吸い込むだけであるため、子どもの負担はかなり少ないです。
通常の浸潤麻酔の場合は針を刺すことを嫌がり、子どもが泣きじゃくってしまうことなどがあるため、こちらは大きなメリットだと言えます。
半分眠っている状態になる
小児歯科治療で笑気麻酔を使用すると、子どもは半分眠っている状態になります。
具体的には、声をかけると反応するものの、意識はそれほどないという状態です。
こちらは治療をスムーズに進められることはもちろん、子どもに歯科治療時の感覚を体験させずに済むという効果もあります。
つまり歯科治療がトラウマにならず、次回以降も問題なく治療を受けられる可能性が高いということです。
笑気麻酔の注意点
小児歯科治療で用いる笑気麻酔は、子ども本人にとっても親御さんにとってもメリットの大きいものです。
しかし、麻酔の効果には個人差があります。
そのため、日頃から情緒が不安定な子どもなどは、鎮静作用が得られにくいことも考えられます。
また子どもにてんかんや喘息などの発作症状がある場合、かえって症状が悪化することも考えられるため、注意が必要です。
ちなみに中耳炎で耳管が閉塞している場合も、笑気麻酔の施術が痛みにつながることが考えられます。
笑気麻酔の一般的な流れ
小児歯科治療で笑気麻酔を行う際は、まず鼻の上にマスクを乗せ、鼻呼吸によって笑気ガスを吸い込みます。
その後少しずつガスを濃くしていき、効果が確認できた時点で治療が開始されます。
このとき子どもは歯科医師の呼びかけに反応できるため、その反応についても適宜確認されます。
また治療が完了した後は、呼吸によって身体から笑気ガスが排出されるのを待ち、体調に問題がなければ帰宅という流れになります。
気分が悪いなどの体調不良がある場合は、少し歯科クリニックで安静にして様子を見ます。
まとめ
子どもが小児歯科治療をスムーズに受けられない場合、治療時間は長くなりますし、長い間子どもに苦痛を与え続けることになります。
こちらは今後治療を続けていくにあたって、決して良いことではありません。
そのため、笑気麻酔を採用している歯科クリニックの場合は、積極的に選択することをおすすめします。
またその他にも、子どもが通院しやすい環境が整った歯科クリニックを選ぶのが大切です。
