食いしばりは、文字通り強い力で歯を食いしばることであり、自覚のない方でも意外と行っている方は多いです。
またあまり知られていませんが、食いしばりは歯周病の原因にもなり得ます。
今回は、食いしばりと歯周病の関連性について、食いしばりが出やすいタイミングについて解説します。
食いしばりが歯周病につながる理由
食いしばりが歯周病につながる理由は、ずばり歯槽骨にダメージを与えるからです。
こちらは食いしばりの強い負荷によって起こるものです。
食べ物を食べるときは歯を噛み合わせますが、このときの力は男性でおよそ60kg、女性でおよそ40kg程度です。
これに対し、食いしばりは無意識のうちに数百kgもの力を歯にかけていると言われています。
また咀嚼のために歯をかみ合わせる時間は、1日につきおよそ20分程度が一般的です。
一方、寝ているときも含めると、食いしばりは数時間単位で歯に負荷をかけ続けることになります。
このときのダメージは歯だけにとどまらず、その下を支える歯槽骨という骨にまで到達します。
歯は土台となる歯槽骨が吸収され、失うことで動揺し、最後には抜歯せざるを得なくなってしまう可能性があります。
ここまでの一連の流れが、食いしばりが引き起こす歯周病における最悪のシナリオです。
食いしばりが出やすいタイミング4選
歯周病を発症させかねない食いしばりが出やすいのは、主に以下のタイミングです。
・仕事に集中しているとき
・重いものを持つとき
・ストレスを感じたとき
・就寝中
各項目について詳しく説明します。
仕事に集中しているとき
例えば仕事でパソコンを使用する際には、長時間画面を注視することになります。
このとき、無意識に歯を食いしばっていることがあります。
こちらはもちろん、紙に文字を書いているときや、勉強をしているときなどにも同じことが言えます。
仕事に集中すると、どうしても口元にあまり意識が行かなくなります。
このようなケースでは、自身で食いしばりをしていることに気付き、気付いたタイミングですぐに離すしかありません。
重いものを持つとき
仕事などで重いものを持つときにも、食いしばりは出やすくなります。
特に力仕事をしている方は、全身に力を入れるために踏ん張ろうとして、食いしばるケースが多いです。
こちらのケースでは、なるべく重いものを一度に持たず、小分けにして持つことである程度対処できます。
しかし一つ一つが重い荷物を運ぶ場合は、なかなか対処しきれません。
ストレスを感じたとき
日中に起こる無意識の食いしばりは、ストレスを感じたときに起こりやすいです。
例えば対人間関係のストレスがあったときや、緊張する場面に遭遇したときなどです。
ストレスを感じると、人は交感神経が優位になり、口周りの筋肉が緊張して食いしばりやすくなります。
またストレスを感じた瞬間でなくても、日頃からストレスが蓄積されている方は、日中のあらゆる場面で無意識に食いしばりをしていることがあります。
就寝中
就寝中も食いしばりが出やすいタイミングであり、こちらはすべて無意識のうちに行われるものです。
睡眠中に起こるものは睡眠時ブラキシズムと呼ばれ、先ほども触れたストレスが蓄積されている方に多く見られます。
寝ている間に強い力で食いしばるため、朝起きたときに歯や顎の痛みを感じることがあります。
また就寝中の食いしばりは、日中の食いしばりよりもさらにかかる負荷が大きいとされています。
その上食いしばる時間も長いため、早急に改善しなければ歯周病のリスクは極めて高くなります。
食いしばりの主な対処法
食いしばりの対処法はいくつかありますが、日中にも就寝中にも対応できるものと言えば、やはりマウスピースです。
歯科クリニックで患者さんの歯型を採り、専用のマウスピースを作成・装着することで、食いしばりによる大きな負担を軽減させられます。
特に就寝中は日中とは違い、食いしばりを避けるように自ら注意することができないため、マウスピースは必須です。
また歯科クリニックで行う治療としては、噛み合わせの調整も挙げられます。
噛み合わせが悪く、歯の高い部分や低い部分がある方は、食いしばりを助長させる危険性があります。
そのため、歯科クリニックでチェックしてもらい、適宜矯正治療などを受けなければいけません。
その他、全身のストレッチは自宅でもできるためおすすめです。
具体的には首や肩、手足や腰などを伸ばし、筋肉の緊張をほぐすストレッチです。
首や肩が凝っていると食いしばりを起こしやすくなるため、定期的にほぐしてあげることが大切です。
まとめ
歯周病は、ブラッシングさえきちんとしていれば防げる疾患ではありません。
世界一の感染者数を誇ることからも、いかに予防するのが難しいかということがわかります。
また歯周病を予防するために避けたいことの一つが食いしばりであり、自覚がある方は一度歯科クリニックに相談してください。
無自覚であっても、首や肩の凝り、顎付近の痛みなどがある場合は一度通院すべきです。