“虫歯=痛い”というイメージを持っている方も多いと思いますが、実際はそうとは限りません。
虫歯に該当する症状があっても、ほとんどもしくは一切痛みを感じないこともあります。
では、このような状況になるのはなぜなのでしょうか?
今回は、虫歯なのに痛みがないケースについて解説します。
本来虫歯は痛みを伴うもの
通常、虫歯を発症するとある程度の痛みは出るものです。
痛みの感じ方には個人差がありますが、歯を削らなければいけない中程度にまで虫歯が進行している場合、ズキズキとした痛みを感じるようになります。
また冷たいものや熱いもの、甘いものを食べたり飲んだりしたときしみたり、叩いたり刺激を加えたりすると響くような痛みが走ったりすることもあります。
ちなみに重度の虫歯の場合、何もしなくても常に痛みを感じることも珍しくありません。
虫歯なのに痛みがない理由4選
歯の見た目が黒い、穴が開いているなど、明らかに虫歯の症状が出ているにもかかわらず痛みがない場合、以下の理由が考えられます。
・初期虫歯
・神経が死滅している
・痛みに慣れている
・神経がない歯の二次虫歯
各項目について詳しく説明します。
初期虫歯
虫歯は虫歯でも、初期虫歯の場合はほとんど痛みを感じることがありません。
初期虫歯はCOとも呼ばれるもので、まだ歯の表面に穴が開いていない状態です。
専門的には要観察歯と呼ばれ、歯の表面が白っぽく濁ったり、茶色っぽく変色したりすることが特徴です。
見た目は虫歯のそれですが、痛みやしみる感覚はほとんどなく、歯を削る必要もありません。
初期虫歯の状態で歯科クリニックを訪れた場合、特に治療は行われず、再石灰化を促す薬を塗布したり、正しいブラッシングの方法の指導を受けたりすることになります。
ちなみにエナメル質の再石灰化を促すことで、初期虫歯は自然治癒する可能性があります。
虫歯が自然に治ることは基本的にはないですが、初期虫歯は正確には虫歯に該当しないため、例外と言えます。
神経が死滅している
これまで虫歯の痛みがあったにもかかわらず、あるときからなくなったという方は、「自然に虫歯が治った」と思うかもしれません。
しかし、実際は神経が死滅して痛みを感じなくなっただけで、虫歯が治ったわけではありません。
歯の表面にはエナメル質という組織があり、その内部には象牙質があります。
象牙質に進行した虫歯は痛みがあり、さらにその奥の歯髄(歯の神経)にまで達すると痛みが激しくなります。
さらに症状が悪化すると、歯髄が完全に死滅してしまい、痛みがパタッとなくなります。
痛みに慣れている
虫歯のズキズキした痛みに悩まされていた方が、少しずつ痛みを感じにくくなった場合、単純に痛みに慣れているだけの可能性もあります。
このようなケースは、歯科クリニックへの通院が遅れやすいため、非常に危険です。
虫歯の痛みに耐えられなくなったことにより、歯科クリニックへの通院を検討するという方は多いです。
しかし痛みに慣れてしまった場合、「まだ大丈夫」と判断してしまうことがあります。
もちろん、そのまま通院せずにいると、前述の通り神経が死滅して痛みがさらに緩和されます。
神経がない歯の二次虫歯
過去に根管治療を行った歯が二次虫歯になった場合も、痛みを感じることはありません。
一度神経を除去した歯は、感覚を失ったままの状態であるからです。
しかし神経がなく痛みがないからといって、虫歯が進行しないというわけではありません。
特に二次虫歯は詰め物や被せ物の下で起こるため、発症していることになかなか気付けません。
表面からでは、内部の形状や色の変化を確認することができないからです。
そのため、定期的に歯科クリニックに通い、二次虫歯を発症していないかチェックすることが大切です。
歯が黒いからといって虫歯とは限らない
歯の一部に黒いところがある方は、「虫歯を発症している」と思うかもしれませんが、黒いからといって虫歯とは限りません。
こちらは単なる着色の可能性があります。
歯に色素が沈着し、着色しているだけの場合、当然痛みが出ることはありません。
また単なる着色なのか、虫歯なのかについての判断は、穴が開いているかどうかを確認すればすぐにわかります。
わずかでも穴が開いている場合は虫歯ですし、穴が開いていない場合は着色と考えてほぼ間違いありません。
ちなみに歯の一部ではなく、歯が全体的に黒ずんでいる場合、神経が死滅している可能性が高いです。
神経の死滅は失活と呼ばれるもので、虫歯だけでなく、前歯を強打してしばらく時間が経ったときなどにも見られることがあります。
まとめ
痛みがないからといって、必ずしも虫歯を発症しているとは限りません。
逆に以前はあった痛みが消えたからといって、虫歯が自然に治ったわけではないため、注意してください。
また、虫歯は痛みが出てから治療すれば良いものではありません。
定期的に歯科クリニックで検診を受け、痛みが出る前の段階で発見し、必要な処置を行うことが大切です。