虫歯治療を行う際には、初期症状の虫歯で歯を削らない場合以外、事前に麻酔が施されるケースがほとんどです。
こちらは痛みの少ない治療には欠かせないものですが、果たして安全性についてはどうなのでしょうか?
今回は、虫歯治療で用いられる麻酔の副作用に関することを解説します。
虫歯治療で用いられる麻酔の種類
虫歯治療では、主に以下のような麻酔が使用されます。
・表面麻酔
・局所麻酔
・伝達麻酔
表面麻酔は、一般的なイメージの麻酔とは違い、ジェル状の薬剤を歯茎に塗布するものです。
注射で行う麻酔の痛みを軽減するために用いられます。
またもっとも一般的なのは局所麻酔であり、こちらは歯茎に注射針を刺して麻酔液を投与するもので、歯の神経を麻痺させます。
ちなみにより広い範囲を治療する際は、伝達麻酔を太い神経の近くに打つことがあります。
虫歯治療の麻酔における主な副作用
麻酔はもちろん安全性を考慮して行われるものですが、以下のような副作用が出ることもあります。
・動悸
・頭痛
・手足の震え、悪心
各項目について詳しく説明します。
動悸
虫歯治療時に用いられる麻酔には、アドレナリンが含まれています。
こちらは血管を収縮させることにより、麻酔薬を局所にとどめる働きをしています。
しかし体内に入ることで心拍数が増加する作用もあるため、場合によっては動悸が起こることも考えられます。
頭痛
こちらもアドレナリンの作用ですが、麻酔によって血管が収縮すると、血圧が一時的に上昇します。
また血圧が上昇すると、ズキズキとした頭痛につながることがあります。
ちなみに、頭痛が原因で血圧が上がるというケースもあります。
こういった頭痛は片頭痛や緊張型頭痛というもので、通常は頭痛が治まれば血圧も自然と落ち着いてきます。
手足の震え、悪心
虫歯治療を行った後、手足の震えや悪心(吐き気)などの症状が見られる場合、麻酔の副作用であることが考えられます。
こちらは麻酔を注射する際の痛み、虫歯治療に対する緊張状態などが原因で、脳貧血が起こっていることが理由と考えられます。
特に虫歯治療や歯科クリニックそのものにトラウマを抱いている方などは、このような症状が出やすくなります。
麻酔が原因の症状かどうか判断するのは難しい
虫歯治療を行った後、上記のような症状が出ることはありますが、それが麻酔によって引き起こされたものなのかどうかは判断が難しいです。
麻酔の副作用だけでなく、単純に患者さんのメンタル面が原因で発生することもあります。
ただ確実に言えるのは、虫歯治療後に体調の悪化が見られた場合、早急に歯科クリニックに相談しなければいけないということです。
もちろん、上記の副作用は必ずしも生じるとは限りません。
治療後何の問題もなく、通常通りの生活に戻れることも十分考えられます。
麻酔が効きすぎることも
麻酔がしっかり効いている場合、虫歯治療の痛みもほとんど感じません。
しかし、患者さんによっては麻酔が効きすぎてしまうこともあります。
つまり、治療が終わった後も麻酔の感覚が長時間残り続けるということです。
通常局所麻酔は数時間で効果が薄れていき、口内周辺の感覚が戻りますが、こちらの効果には個人差があります。
麻酔が効きやすい方は、しばらくしびれや違和感が残るため、不快に感じるかもしれませんが、当然永遠に効果が持続することはありません。
いずれは効果が薄れ、これまで通りに口を動かすことができます。
局所麻酔中毒について
局所麻酔では、局所麻酔中毒という症状が現れることがあります。
こちらは、局所麻酔で使用される麻酔薬の血中濃度が急激に上昇することにより、さまざまな中毒症状が見られる病態です。
初期症状としては興奮や頻脈、血圧上昇などが認められ、末期になると無呼吸や心停止などの命に関わる症状が出ることもあります。
ただし一般的な虫歯治療では、局所麻酔中毒が起こることはまずありません。
なぜなら、使用する麻酔薬の量は最小限ですし、中毒症状が出にくいような方法で麻酔を施すからです。
麻酔後の副作用を起こりにくくするには?
麻酔後に起こる副作用をなるべく回避するには、とにかく安静にすることが大切です。
虫歯治療の麻酔に含まれるアドレナリンは、前述の通り血管を収縮させる効果があるため、身体を激しく動かすと副作用につながりやすいです。
また口内の感覚がない状態で身体を動かすと、舌や頬を噛んでしまうリスクも高まります。
ちなみに食事も舌や頬を噛んだり、熱いものを食べて火傷したりするリスクがあるため、麻酔の効果が切れるまでは避けるべきです。
まとめ
麻酔は虫歯治療とセットで行われる大事な施術ですが、こちらに不安を抱く方は少なくないでしょう。
実際、副作用が出たというケースも報告されていますし、重大な疾患のリスクもゼロではありません。
しかし、熟練の歯科医師が痛みや術後リスクの軽減を目的に行っているため、そこまで怖がる心配はないと言えます。
もちろん虫歯治療そのものの安全性についても、高水準で確保されています。
