虫歯治療=痛いというイメージが強いですが、決してそのようなことはありません。
虫歯治療では、痛みを限りなくゼロに近づけるための局所麻酔、さらには局所麻酔の痛みをなくす表面麻酔が使用されます。
では虫歯治療中、麻酔をしているにもかかわらず痛みが出る場合、どのような原因が考えられるのでしょうか?
虫歯治療で麻酔をしているのに痛みを感じる原因6選
表面麻酔や局所麻酔を行っているにもかかわらず、虫歯治療中に痛みが出るという場合、以下の原因が考えられます。
・麻酔薬の量が少ない
・下の奥歯を治療している
・歯の炎症が強い
・緊張している
・飲酒や薬の影響を受けている
・体調が悪い
各項目について詳しく説明します。
麻酔薬の量が少ない
麻酔を打っているにもかかわらず、歯を削ったときなどに痛みが出る場合、投与された麻酔薬の量が少ない可能性があります。
麻酔の効果には個人差があります。
例えば通常の半分くらいの量でも、5時間以上効果が継続する方もいれば、通常の倍以上投与したにもかかわらず、数十分で効果が切れる方もいます。
そのため最初は痛みがなかったにもかかわらず、徐々に効果が薄れて痛みが出始めた方は、麻酔が効きにくい体質である可能性が高いです。
このようなケースでは、我慢せず歯科医師に痛みがあることを伝え、対処してもらわなければいけません。
下の奥歯を治療している
下の奥歯に虫歯がある場合、治療時に施す麻酔は効果が薄れる可能性があります。
なぜなら、下の奥歯は麻酔が効きにくいからです。
下の奥歯は非常に大きく硬い上に、分厚い骨に覆われています。
そのため、歯茎に麻酔を投与しても、なかなか内部まで麻酔薬が浸透しません。
もし下の奥歯治療中、“歯茎の感覚がないにもかかわらず歯が痛い”という状態になったら、それは麻酔の効果が不十分であることを表しています。
歯の炎症が強い
虫歯が中程度~重度にまで進行し、強い炎症が起こっている場合も、麻酔の効果が弱まってしまう可能性があります。
人の血液は、通常pH7.4ほどの弱アルカリ性をキープしていますが、炎症がある部分のpHは酸性が強くなります。
また麻酔はあくまで健康な場合のpHに合わせてつくられているため、酸性に傾いている部分はどうしても麻酔薬が機能しにくくなります。
ちなみに虫歯が進行すると炎症が起こる、治まるというサイクルを繰り返しますが、こちらも麻酔をしているのに痛みが出る原因です。
何度も炎症を繰り返すと、徐々にその部分の組織が硬くなり、下の奥歯と同じように麻酔薬が浸透しにくくなります。
緊張している
歯科クリニックそのものや虫歯治療が苦手な方は、治療時に強い緊張状態になっていることも多いです。
このような緊張した状態だと、虫歯の治療の痛みを感じやすくなり、麻酔があまり効果を発揮しません。
もちろん、患者さん自身で緊張をやわらげるのは決して簡単なことではありません。
そのため、できる限り虫歯治療の実績がある歯科クリニックを訪れましょう。
実績と経験が豊富な歯科医師は、より患者さんの立場に立った治療を心掛けてくれるため、多少は緊張しにくくなります。
その他、自身と性格が合う歯科医師に治療を依頼することも大切です。
飲酒や薬の影響を受けている
日頃毎日のようにお酒を飲む方や、抗うつ剤、鎮痛剤を常用している方などは、麻酔をしても虫歯治療の痛みが出やすいです。
こちらは、アルコールと薬に含まれる成分における分解の仕組みが関係しています。
麻酔薬などの化学物質は、肝臓で分泌される酵素の働きによって分解されます。
また、アルコールや内服液などに含まれる成分も同じく、肝臓で分解されています。
そのため日頃よくお酒を飲む方や抗うつ薬、鎮痛剤を服用している方は、化学物質を分解する酵素が増加します。
結果的に分解速度が速まり、麻酔薬も速く分解されるため、効果が持続しにくくなってしまいます。
もし薬を常用しているのであれば、その内容については必ず歯科医師に伝えなければいけません。
体調が悪い
単純に疲労がたまっていたり、睡眠不足だったりする場合も、虫歯治療時の麻酔は効果を発揮しにくくなります。
そのため、治療の前日などは不安で緊張することもあるかと思いますが、十分に睡眠を取り、体調を整えてから歯科クリニックを訪れることをおすすめします。
ちなみに、あまりにも体調が優れないときは、歯科クリニックに連絡をして治療を見送ることも大切です。
一般的な虫歯治療であれば、1回程度治療が延期になったとしても、そこまで大きな支障にはつながりません。
まとめ
虫歯治療では、初期症状の場合を除き、基本的には麻酔が使用されます。
そのため、いきなり歯を削って強い痛みが出るようなことはまずありません。
しかし、麻酔が必ずしも患者さんの思い通りの効果を発揮するとも限りません。
治療する箇所や患者さんの状態によっては、なかなか痛みが軽減されないこともあるため、注意してください。
また痛みに敏感な方は、静脈内鎮静法や笑気麻酔などの方法を選びましょう。