親知らずが斜めに生えて他の歯に影響を与えていたり、歯茎に埋まっていたりする場合、抜歯を選択しなければいけないことがあります。
また抜歯後は少しずつ通常通りの生活に戻ることができますが、しばらくは注意すべき点がいくつかあります。
今回は、こちらの注意事項について解説します。
親知らず抜歯後の生活における注意事項7選
親知らずを抜歯した後は、以下の点に気を付けながら生活を送りましょう。
・抜歯から数日間は安静に過ごす
・うがいをしすぎない
・患部を冷やしすぎない
・食事の内容に注意する
・舌や指で触らない
・入浴や飲酒、喫煙をしない
・抗生物質を最後まで飲み切る
各項目について詳しく説明します。
抜歯から数日間は安静に過ごす
親知らずを抜いた後は、すぐ通常の生活に戻そうと考える方が多いですが、数日間は安静に過ごさなければいけません。
親知らず抜歯後直後は、血行が良くなると治療箇所から出血しやすくなります。
そのため活発に外で活動するのは控え、なるべく自宅で過ごすようにしましょう。
また可能であれば仕事も休むのが望ましいですが、難しい場合でも身体を動かす作業などは控えた方が良いでしょう。
もちろん、仕事だけでなく力や体力を使う家事も控えるべきです。
うがいをしすぎない
抜歯した部分が気持ち悪く、ついつい何度もうがいをしてしまうという方は多いですが、こちらはあまりおすすめできません。
抜歯した部分には血餅と呼ばれるかさぶたのようなものができますが、うがいをしすぎると血餅が剥がれてしまいます。
また血餅は血を止めるために形成されるものであるため、剥がれた状態が続くと常に口内が出血することになります。
患部を冷やしすぎない
抜歯後は治療箇所に強い痛みが出ることがあります。
この痛みは、冷たいタオルや冷却シートなどを頬に当てることである程度緩和されますが、方法を間違えてはいけません。
例えば、保冷剤や氷そのものを使って冷やしすぎると、血行不良を引き起こして痛みが強くなるおそれがあります。
もちろん、頬側でなく口内側から氷で冷やすのもNGです。
保冷剤や氷を使用する場合は、タオルなどに包んで頬側から当て、冷たくなりすぎていると感じる場合は一度離しましょう。
食事の内容に注意する
親知らずを抜いた後は、食事の内容についても注意しなければいけません。
まず抜歯直後は腫れや再出血、キズの悪化などにつながるため、飲食をなるべく控えるべきです。
具体的には、麻酔の効果が切れるまでの間は、空腹でも我慢しましょう。
また麻酔が切れた後でも口内を刺激するような硬いもの、熱いもの、刺激の強いものなどを摂取してはいけません。
ただし、一切食事を摂らないというのもそれはそれでNGです。
食事を摂らないと栄養不足になり、身体の抵抗力が落ちて患部の痛みや腫れが出やすくなるため、しっかり栄養は摂らなければいけません。
舌や指で触らない
親知らずを抜いた部分は非常にスッキリとしていますが、気になるからといってその部分を舌や指で触るのは控えましょう。
特に指で触った場合、治療箇所にバイ菌が入り、感染症などを引き起こす可能性があります。
また先ほども少し触れた血餅は、赤黒いゼリー状になっています。
皮膚にできるかさぶたのように、それほど硬いものではないため、触るとすぐに剥がれてしまいます。
ちなみに血餅が取れると、ドライソケットのリスクが高まります。
ドライソケットは、血餅が剥がれ落ちて傷口が丸裸になり、骨が露出した状態です。
このような状態になると、痛みはさらにひどくなることが予想されます。
入浴や飲酒、喫煙をしない
「自宅で安静にしておけば良い」と考え、親知らずの抜歯当日に入浴をする方もいるかもしれませんが、この考えは間違いです。
長時間お湯に浸かると血行が良くなりすぎてしまい、血が止まりにくくなったり、患部が大きく腫れ上がったりするおそれがあります。
また同じような理由で、飲酒もなるべく控えるべきです。
ちなみに喫煙に関しても、血流を悪化させ患部の治りを遅くしてしまう可能性があるため、少なくとも治療後1週間は禁煙しましょう。
抗生物質を最後まで飲み切る
親知らずの抜歯後は、歯科クリニックから抗生物質を処方されるケースがほとんどです。
痛み止めの場合、痛みがあるときだけ服用すれば良いですが、抗生物質は必ず最後まで飲み切らなければいけません。
患者さんの判断で服用をやめてしまうと、残った細菌が薬に対して耐性を持ってしまう可能性があります。
ただし、抗生物質を飲み忘れたからといって、2回分をまとめて飲むのはNGです。
例えば1日3回服用する抗生物質の場合、次の服用までの間隔は4時間以上空けなければいけません。
まとめ
これまで親知らずの痛みや不便さに苦しんできた方は、抜歯をすることでようやくそのような生活から解放されます。
しかし、抜歯さえすれば何でも好きなことをして良いのかというと、そういうわけではありません。
患部を確実に治し、制約のない生活を実現させるためには、抜歯後もある程度のルールの中で生活する必要があります。