セラミック治療は、セラミック素材を使用して虫歯治療後の歯における審美性をアップさせる治療です。
このとき使用されるセラミック素材にはいくつかの種類があり、代表的な素材の一つにメタルセラミックが挙げられます。
今回は、メタルセラミックの概要やメリット・デメリットについて解説します。
メタルセラミックの概要
メタルセラミックは、金属のフレームにセラミックを焼き付けたクラウンのことをいいます。
陶材焼付鋳造冠ともいい、歯科クリニックの治療では従来から使用されている信頼感のある被せ物です。
また歴史が古いことから、他のセラミック素材と比べて症例数が豊富で、現在もセラミック治療の選択肢として多くの方に選ばれています。
メタルセラミックの主なメリット
セラミック治療で使用されるメタルセラミックには、主に以下のようなメリットがあります。
・強度が高い
・審美性が高く長持ちする
・症例数が多い
各メリットについて詳しく説明します。
強度が高い
メタルセラミックは数あるセラミック素材の中でも、強度が高いことで有名です。
こちらは、部分的に金属を使用していることが理由です。
金属にセラミックを焼き付けてつくられるメタルセラミックは、強度が高く割れにくいため、奥歯などの力がかかりやすい部分にも使用できます。
また歯ぎしりや食いしばりがある方でも、クラウンへの負担を軽減することが可能です。
ちなみに、ポピュラーなセラミック素材であるオールセラミックも強度が低いわけではありませんが、金属を使用していないため、強い衝撃が加わると割れる可能性があります。
審美性が高く長持ちする
メタルセラミックは金属を使用しているものの、その部分が外部からハッキリ見えているわけではありません。
そのため、見た目は完全なセラミックであり、審美性は高いです。
また表面がセラミックであることからプラークが付きにくく、変色もしにくいため、同じ金属を使用したクラウンよりも美しさが長持ちします。
しっかりメンテナンスを行えば、8年前後は問題なく使用できます。
症例数が多い
概要でも触れたように、メタルセラミックは歴史が古く、症例数が豊富にあります。
症例数が多いということは、自身の口に合っているか、どれくらいの期間でメンテナンスが必要なのかといった疑問も解決しやすいということです。
もちろん、症例数が多ければ、トラブルが発生したときの対処もしやすくなります。
メタルセラミックの主なデメリット
一方、メタルセラミックには以下のようなデメリットもあります。
・金属アレルギー、歯茎の変色のリスクがある
・加齢によって金属部分が見えることがある
・対向歯を傷つけるおそれがある
各デメリットについて詳しく説明します。
金属アレルギー、歯茎の変色リスクがある
メタルセラミックのデメリットとしては、まず金属アレルギーや歯茎の変色リスクがあることが挙げられます。
メタルセラミックはニッケルクロムや銀などの金属を使用しているため、経年劣化によって金属イオンが少しずつ溶け出し、金属アレルギーを発症することがあります。
金属イオンは口腔内だけでなく、体内に入って血液にも溶け出してしまうことがあり、数年後に全身の皮膚に湿疹の症状を生じさせることも考えられます。
また経年劣化によって金属イオンが溶け出し、歯茎が黒ずんだり、変色したりすることもあります。
こちらはメタルタトゥーといい、名前の通りタトゥーのように簡単には除去できません。
加齢によって金属部分が見えることがある
メタルセラミックは、通常金属部分が見えていませんが、加齢によって徐々に金属部分が露出することがあります。
こちらは、加齢による歯周病が原因です。
歯周病の症状が進行すると、歯茎が本来の位置から徐々に下がってきます。
すると、歯と歯茎の境目が見えるようになるため、角度によってはメタルセラミックの金属部分が見えてしまうことも考えられます。
このような状態になると、本来の審美性は期待できません。
対向歯を傷つけるおそれがある
メタルセラミックは強度が高いのがメリットですが、これによって対向歯を傷つけてしまうおそれがあります。
メタルセラミックと噛み合う歯は、天然歯であるケースがほとんどです。
そこに強度が高いメタルセラミックが噛み合うと、徐々に擦り減ったり負担が蓄積したりして、最終的には破損する可能性があります。
特に歯ぎしりや食いしばりがある方は、このような現象が起こる可能性が高いです。
一度失った天然歯は二度と生えないため、健康な歯はなるべく保護することが望ましいです。
まとめ
メタルセラミックは強度や審美性に優れたセラミック素材であり、何より多くの成功例があります。
しかし金属アレルギーのリスクは避けられず、年齢を重ねると歯茎が下がり、徐々に審美性を失っていくことも考えられます。
これからセラミック治療を受けようと考える方は、これらのメリット・デメリットを把握した上で、実際に治療を受けるかどうか判断してください。