セラミック治療を受けることにより、審美性が高く長持ちする歯を手に入れることができます。
その他、二次虫歯の発生を防ぎやすいという効果もあります。
しかし歯ぎしりがある方は、これらのセラミック治療のメリットが半減することが考えられます。
今回は、歯ぎしりがセラミックに与える影響や対処法について解説します。
そもそも歯ぎしりとは?
そもそも歯ぎしりとは、無意識の状態や就寝時に上下の歯をこすり合わせる症状のことをいい、グラインディングとも呼ばれます。
原因は明確になっていませんが、ストレスや歯並びの乱れ、噛み合わせ不良などが原因と考えられています。
また肉体的・精神的なストレスが溜まると、人は歯ぎしりをしてストレスを発散するようになるとも言われています。
歯ぎしりがセラミックに与える影響3選
日頃から歯ぎしりをしている方は、セラミック治療後に以下のような影響が出ることがあります。
・脱離、破損
・セラミックの寿命が短くなる
・天然歯の消耗
各項目について詳しく説明します。
脱離、破損
慢性的な歯ぎしりは、セラミックの脱離や破損につながるおそれがあります。
歯ぎしりによってセラミックに強い力がかかると、歯とセラミックを接着する接着剤に隙間ができ、外れてしまうことがあります。
またセラミックは陶器素材で見た目が美しいものの、強い衝撃を受けると割れやすいという性質を持っています。
そのため、歯ぎしりの力がかかり続けると、一部が欠けたり割れたりすることも考えられます。
セラミックの寿命が短くなる
習慣化している歯ぎしりは、セラミックの寿命を短くしてしまうこともあります。
歯ぎしりはギリギリと上下の歯をこすり合わせるため、セラミックを摩耗させてしまいます。
また摩耗によって噛み合わせが悪化することで、噛み合う歯から強い力がかかるようになり、装着からわずかな期間で状態が悪くなることもあります。
天然歯の消耗
歯ぎしりのダメージはセラミックだけでなく、セラミックと噛み合う天然歯にも影響を及ぼします。
特にジルコニアなど、セラミック素材の中でも硬い素材の場合、歯ぎしりによって対向歯が大きなダメージを受けます。
そのため、天然歯が欠けたり割れたりする可能性があります。
またセラミックとは違い、天然歯は一度破損すると元の状態には戻せません。
さらに天然歯が消耗すると、将来十分に天然歯を残せないことも考えられます。
歯ぎしりの対処法
慢性的な歯ぎしりがある方は、症状をそのまま放置してはいけません。
歯ぎしりがある限り、セラミックには負担がかかり続けますし、そうなると再治療の可能性も高くなります。
また歯ぎしりの対処法としては、主に以下の方法が挙げられます。
・ナイトガード
・ボトックス注射
・睡眠の質向上
・噛み合わせの調整
各項目について詳しく説明します。
ナイトガード
ナイトガードは、就寝時の歯ぎしりによって上下の歯が直接当たらないように装着するマウスピースです。
ナイトガードを使用すればセラミックへの衝撃も防げるため、脱離や破損などは予防しやすいです。
また歯ぎしりの不快な音もなくなるため、一緒に寝ている家族にとっても優しい治療法だと言えます。
ボトックス注射
歯ぎしりを和らげる治療としては、ボトックス注射も挙げられます。
こちらは無毒化したボツリヌス菌を過度に緊張した筋肉に入れ、筋肉の動きを弱めて過緊張を取り除くというものです。
眉間や顔のシワを取るために美容外科などでよく使用されるものを、歯ぎしりの筋肉に応用します。
睡眠の質向上
睡眠の質を上げることも、歯ぎしりの対処法の一つです。
就寝時の歯ぎしりは、眠りが浅いとき、無意識に口周りの筋肉に力が入ることで発生するとされています。
枕が高すぎると歯を噛みしめやすくなるため、過度な高さに調整しましょう。
またうつ伏せで寝ると歯ぎしりのリスクが高いため、仰向けで寝て寝返りが打ちやすい姿勢を取るのも大切です。
さらに就寝前には、ブルーライトで脳が覚醒しないように、スマートフォンやパソコンの使用を控えましょう。
噛み合わせの調整
噛み合わせを調整することでも、歯ぎしりは改善される可能性があります。
噛み合わせは加齢や虫歯、歯周病の進行などにより常に変化していて、一定しているものではありません。
つまり以前は歯ぎしりをしていなくても、何かのきっかけで噛み合わせが変化し、歯ぎしりが起こるケースもあるということです。
そのため、定期的に歯科クリニックに通い、噛み合わせの状態を確認してもらうことが大切です。
何か問題があれば、矯正治療などで対応します。
まとめ
歯ぎしりは無意識に行っているものであるため、すぐには発症していることに気付けないこともあります。
また歯ぎしりだけでなく、強く歯を噛みしめる食いしばりの症状も出ていることがあり、これらの悪習癖はセラミックとの相性が非常に悪いです。
もし不安であれば、セラミック治療を受ける前に、歯科クリニックで提供されている歯ぎしり検査を受けることをおすすめします。
