根管治療は、虫歯が重度にまで進行したとき、歯の内部の汚れや神経を除去するために行う治療です。
そのため、虫歯を長い間放置してしまった方は、今後受ける可能性が高いです。
また、このような方々は、根管治療の詳細について気になっているかと思います。
今回は、根管治療に関するよくある質問にお答えします。
根管治療を行うと歯の寿命が短くなるって本当?
根管治療を行い、歯の神経を除去すると、歯の寿命が短くなる可能性があります。
こちらは虫歯の発見が遅れることや、歯が脆くなることなどが理由です。
歯の神経には痛い、しみるといった歯の異常を教えてくれる役割があります。
しかし痛みが発生しないと、歯の内部で虫歯が進行していても気づきにくいです。
よって治療が遅れてしまい、歯の寿命も短くなるという仕組みです。
また歯の神経を除去すると、周囲の血管も失われます。
そのため、歯に必要な水分や栄養が届かなくなり、歯が脆くなります。
このように歯の強度が低下すると、当然破折のリスクが高まります。
根管治療後の歯の寿命はどれくらい?
根管治療後の歯の寿命は、およそ11年です。
こちらはアメリカの研究所によって発表されたもので、journal of Dental Researchという医学雑誌に掲載されています。
具体的には、アメリカの99ヶ所の歯科クリニックにおいて、根管治療を受けた患者46,702人のデータを分析して算出されました。
11年という数字は、一般的な天然歯の寿命に比べて短く、半分程度だとされています。
ちなみに同研究では、根管治療を受けた歯のうち20年以上残存しているのは、26%であることも明らかになっています。
根管治療後にはなぜ経過観察が必要?
根管治療後は、順調に治っているかどうかの経過観察が必要です。
こちらは、成功か失敗かを判断するためのものです。
根管治療は、根尖病変を除去するためのものです。
根尖病変は、細菌感染などによって発症した根の先端付近の病気です。
しかし根管治療を受けても、根尖病変が治っているかすぐにわからないことがあります。
痛みがなくなったり、歯茎の腫れが引いたりすればわかりやすいですが、自覚症状がなかった症例については、すぐに成功と失敗の判断がつきません。
治療後は成功したように見えても、数ヶ月で痛みが再発するケースもあります。
そのため根管治療後には、レントゲンやCTによる経過観察が必要です。
根管治療後の再根管治療を防ぐにはどうする?
根管治療を行うことにより、歯の根まで進行した虫歯の症状が改善されます。
しかし、一度根管治療を行ったからといって、二度とその箇所で虫歯を発症しないというわけではありません。
再発時には、再根管治療を受ける必要があります。
また再根管治療を防止するには、歯科クリニック選びやセルフケアの徹底が大切です。
根管治療が必要な歯は細菌感染が原因であり、その細菌をできる限り少なくすることが治療の本質です。
そのため使用する器具・器材の減菌処理の徹底など、感染を防止する環境が整った歯科クリニックがおすすめです。
さらにブラッシングが不十分だと、被せ物と歯の間に汚れが溜まり、細菌も増殖します。
やがて細菌は内部に進行し、一度治療した根の先で繁殖することで、虫歯が再発します。
そのため、特に被せ物と歯の間は丁寧に磨かなければいけません。
根管治療が難しい場合の選択肢は?
場合によっては、根管治療が難しいほど虫歯が進んでいることがあります。
このような場合でも、まずは根管治療を実施するケースが多いです。
しかし、こちらの方法は予後があまり期待できません。
虫歯が極端に大きい場合、削ると歯冠部(歯茎から出ている歯)はほとんどなくなりますし、過去にも根管治療を行っている場合、根管壁をかなり削っています。
そのため、もう一度根管治療を行うと、強度不足で割れる可能性があります。
また根管治療が難しい場合の選択肢としては、インプラントが挙げられます。
虫歯が重度で抜歯せざるを得ない場合は、インプラントが適しています。
インプラントを行うには抜歯が必要です。
しかしインプラントは、機能面・見た目ともに天然歯とほぼ変わらないため、慣れれば抜歯をしたことを忘れるくらい使いやすくなります。
その他の治療でいうと、ブリッジが採用されることもあります。
ブリッジは入れ歯のように毎日取り外し、手入れをする必要がありませんし、場合によっては保険診療の範囲内でも行うことが可能です。
ただし根管治療以外の選択肢としては、インプラントと比べて劣る点が多いです。
例えばブリッジの治療を行う場合、隣の健康な歯も削らなければいけません。
そのため、少しでも歯を失いたくない方にはあまり向いていません。
まとめ
根管治療は、定期的に歯科クリニックのメンテナンスに通い、虫歯がない状態を維持しておけば、受けることのない治療です。
一方定期検診に通わず、セルフケアもそれほど丁寧に行っていなかった場合、根管治療が適用される可能性は極めて高いです。
そのため、まずは根管治療を受けずに済むような状況を目指すべきだと言えます。