根管治療では、歯の内部にある根管と呼ばれる部分を消毒し、汚れや細菌を除去します。
こちらの治療により、抜歯をせずに問題を解決できます。
また、このように極力抜歯を避けることで、日々の生活にはさまざまなメリットが生まれます。
今回は、根管治療で歯を残すべき理由について解説します。
根管治療で歯を残すべき理由6選
抜歯を選択することは簡単ですが、私たちにとって歯を残すというのはとても重要なことです。
根管治療により、歯を残すべき理由としては、主に以下のことが挙げられます。
・噛み合わせの悪化を防げる
・自身の歯で食事ができる
・食べ物の食感や温度を感じ取れる
・入れ歯になる時期を遅らせることができる
・精神的な幸せを得られる
・認知症を予防できる
各項目について詳しく説明します。
噛み合わせの悪化を防げる
根管治療を受けて歯を残すべき理由としては、まず噛み合わせの悪化を防げるということが挙げられます。
歯を失ってしまうことにより、その部分には当然隙間ができます。
時間が経過すると、歯を失った部分の両隣の歯が移動したり伸びたりするため、噛み合わせや歯並びは悪くなる可能性があります。
さらに噛み合わせや歯並びが悪化すると、顎の動きや形状にも悪影響を及ぼすことになり、顎関節症のリスクも高まります。
一方、根管治療によって抜歯を回避すれば、このようなことが起こる心配はありません。
自身の歯で食事ができる
根管治療で歯を残すことができれば、しっかり自身の歯で食事を楽しめます。
どれだけ優れた人工歯であっても、天然歯より機能性の高いものは存在しません。
そのため、自身の歯でものを噛むともっとも食事の美味しさが引き立ちます。
またしっかり咀嚼することにより、表情筋や咀嚼筋が鍛えられるため、顔貌にも良い変化をもたらしてくれます。
口元や輪郭が引き締まり、美容効果を得られることもあります。
食べ物の食感や温度を感じ取れる
根管治療で歯を残せば、天然歯によって食べ物の食感や温度を感じ取ることも可能です。
食べ物の硬さややわらかさ、歯ごたえなどはもちろんのこと、料理の温度も食事を楽しむ上では重要な要素です。
健康な歯を持っている方は、これらを当たり前に感じ取っていますが、歯を失ったり人工歯を使用したりしている方は、そうした食事の楽しみが半減します。
なぜなら人工歯には歯根がありませんし、食感を感じ取れる歯根膜も存在しないからです。
義歯の中にも食感や温度を感じやすいものはありますが、前述の通りこれらの機能は天然歯に勝るものではありません。
入れ歯になる時期を遅らせることができる
なるべく歯を残すことにより、入れ歯になる時期を遅らせることが可能です。
こちらも、根管治療で歯を残すべき理由の一つです。
入れ歯やブリッジ、インプラントなどはどれも失った歯をサポートしてくれるものですが、口内に入った段階から劣化が始まります。
そのため、寿命が来れば再び治療を受けなければいけません。
また早めに歯を失った場合、これらの人工歯の治療を何度も行わなければいけない可能性もあります。
もちろん、治療には費用がかかりますし、患者さんの身体にもある程度負担がかかります。
そのため、根幹治療で歯を残し、なるべく人工歯を入れる時期を遅らせることが大切です。
精神的な幸せを得られる
根管治療で歯を残すべき理由としては、精神的な幸せを得られるということも挙げられます。
自身の歯を抜くということは、言い方を変えれば人体の一部を切除するということです。
当たり前のことですが、自身の腕や足を切断しても良いという考える方はほとんどいません。
また歯は腕や足と比べて、失ったときの影響が少ないと感じる方もいるかと思いますが、決してそのようなことはありません。
歯を失えばこれまでのように咀嚼や発音はできませんし、二度と生えてくることがないという点においても、腕や足を失うのと同じくらいの大事だといえます。
そのため、なるべく自身の歯を残し、“自身の歯を使える”という精神的な幸せを感じることが大切です。
認知症を予防できる
認知症を予防できるということも、根管治療で歯を残すべき理由として挙げられます。
顎と脳は太い血管でつながっていて、よく噛むことで脳への血流量が増えます。
これにより、認知症の予防につながるという報告があります。
つまり、歯を残して咀嚼能力を維持することにより、認知症を発症しにくくなるということです。
逆に、歯を失うと咀嚼能力が下がって認知症のリスクは増大します。
また認知症を発症すると、記憶や思考などの認知機能が低下し、日常生活や社会生活に支障をきたします。
まとめ
虫歯が重症化している方の中には、「最悪の場合、抜歯すれば良い」と考えている方もいるかもしれません。
確かに、抜歯すれば重症化した虫歯でも改善できる可能性がありますが、歯を失うことへの抵抗感は常に持っておくべきです。
根管治療で歯を残さなければ、生活の不便さは増しますし、将来的な歯や身体の問題にもつながりやすくなります。