根管治療は、重篤化し神経にまで達した虫歯を治療するために行われるものです。
具体的には、歯の根の神経や汚れを除去することによって症状を改善させますが、こちらは一度の治療ですべて完了するとは限りません。
今回は、根管治療のやり直しを防ぐ方法を中心に解説します。
根管治療のやり直しとは?
根管治療のやり直しとは、一度治療した歯の根について再度消毒したり、薬を充填したりする治療のことをいいます。
一度根管治療を行ったとしても、外部からの感染などで歯の根の先に膿が溜まり、骨を溶かしてしまうことがあります。
このような場合は、根管治療をやり直すことで改善を促します。
また再感染が起こる理由としては、被せ物との隙間や噛み合わせなどが挙げられます。
以前に治療を終えたとしても、被せ物と歯との間に隙間ができていたり、噛む力が強く歯に小さな亀裂が入ったりすると、再び虫歯菌に感染してしまいます。
根管治療のやり直しを防ぐ方法4選
根管治療のやり直しを防ぐには、以下の方法を実践するべきです。
・慎重に歯科クリニックを選ぶ
・ブラッシングを徹底する
・定期検診を受ける
・十分な治療時間を確保する
各項目について詳しく説明します。
慎重に歯科クリニックを選ぶ
根管治療のやり直しを防ぐためには、慎重に歯科クリニックを選ぶことが重要です。
なぜなら、環境がしっかり整っている歯科クリニックを受診すれば、虫歯の再発は起こりにくいからです。
根管治療を受ける場合、治療する歯は細菌に感染しているため、できる限りその数を少なくする必要があります。
そのため、器具や器材の減菌処理が徹底されているなど、感染を防止する環境が揃っている歯科クリニックを選ぶべきです。
また治療を行う際、治療箇所以外の口腔内全体をゴムシートで被うラバーダムを採用している歯科クリニックもおすすめです。
ブラッシングを徹底する
根管治療のやり直しを防ぐためには、患者さんのセルフケアも大切です。
特にセルフケアの基本であるブラッシングについては、徹底的に行わなければいけません。
ブラッシングが不十分だと、根管治療を受けた歯と被せ物の間に汚れが溜まり、プラークが形成されます。
プラークは細菌の塊であるため、やがて治療した歯の内部に細菌が侵入することを許してしまいます。
そのため、歯と被せ物の間はしっかり意識して磨きましょう。
また被せ物と隣り合う歯の境目については、デンタルフロスや歯間ブラシなども使用し、できる限りプラークを除去する必要があります。
定期検診を受ける
歯科クリニックで定期検診を受けることも、根管治療のやり直しを防ぐ方法の一つです。
こちらは、定期検診によって早期に治療箇所の問題を解決できることが理由です。
根管治療後、歯の内部の状態がどうなっているかについては、症状が出なければ確認できます。
また内部に膿が溜まっているかどうかも、レントゲン撮影をしなければ発見は困難です。
そのため、治療後は定期検診に通い、健康な状態をキープできているか確認する必要があります。
もし再発が始まっていたとしても、定期検診を受けていれば初期段階で対処できるため、そこまで大掛かりな治療のやり直しは必要ありません。
十分な治療時間を確保する
根管治療のやり直しを防止するには、患者さん自身が十分な治療時間を確保する必要があります。
こちらを言い換えると、きちんと歯科医師の指示通り通院・治療を継続させなればいけないということになります。
根管治療は、複数回通院してやっと1本分の治療が完了するものです。
特に奥歯の治療については、他の歯よりも治療の回数が増える傾向にあります。
そのため、何度も通院しなければいけませんが、面倒だからといって途中で治療をやめてしまってはいけません。
治療期間中は仮の補綴物が装着されますが、こちらは短期間の使用を前提としたものです。
前回の治療から時間が空きすぎると、再び根管内に細菌が侵入するリスクは高くなります。
根管治療を行っても治らない場合は?
何度根管治療を行っても再発が起こるという場合、基本的には抜歯を選択することになります。
ただし、抜歯は歯並びなどに影響を与えるため、できる限り避けた方が良いです。
抜歯以外の治療法としては、歯根端切除術や再植術などがあります。
歯根端切除術は、歯の一部を外科的に取り除くことで症状を改善させるものであり、再植術は一度抜けてしまった歯を再度同じ場所に戻すという治療です。
もし根管治療を受けるのであれば、効果がなかったときに備えて、これらの治療を取り扱っている歯科クリニックを選ぶことをおすすめします。
まとめ
日本における根管治療の成功率は、30~50%と決して高くありません。
つまり、50~70%は失敗し、再治療を受けなければいけないということです。
そのため、工夫次第でやり直しのリスクは軽減できますが、最初からやり直す可能性が高いことは頭に入れておきましょう。
またこれまでの治療がすべて無駄になってしまうため、患者さんの独断で中断することは絶対にNGです。